フリーランス・自営業という働き方を選ぶ人が増えている
キャリア転身の方法は、転職ばかりではありません。近年の働き方の多様化、ワーク・ライフ・バランスを重視する傾向から、フリーランスや自営業という働き方を選ぶ人が増えてきています。一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会理事でもある田中美和さんにフリーランスの需要について聞きました。田中さんが共同代表を務める株式会社Warisは、総合職経験10年以上でフリーランスになった女性と企業とのマッチング事業を展開しています。
「フリーランスで働く人口は、会社勤めを続けながらという人も含めると、現在1122万人を超えています。昨年の1064万人から1年で約5%の伸びになります(ランサーズ株式会社「フリーランス実態調査2017」調査時期:2017年2月14日~18日、2016年2月14日~18日)。フリーランスという働き方は、これまで出版業界などのクリエーティブ領域やIT業界が中心でしたが、最近は職人系やビジネス系の増加が目立ちます。職人系は、家事代行サービスや出張シェフサービスなどの特定のスキルを持った人、ビジネス系は企業の広報や人事、マーケティング担当などです」(田中さん)
なぜ、人口・領域ともにフリーランスという働き方が拡大しているのでしょう。
「自身のスキルや経験を生かしつつも、自由度は高く働きたい方が増えているからではないでしょうか。出産やパートナーの転勤、親の介護などのライフステージに合わせて週5日フルコミットではない働き方を目指す方が増え、環境も整ってきているのです」(田中さん)
Warisの登録者は文系総合職の女性が中心。会社に15年ほど勤め、担当領域をひと通り経験してきたリーダークラスの人が中心で、管理職経験者もいます。そのうち約7割がママで、「時間的制約がある中でやりがいのある仕事に従事したい」、「短時間で“濃く”働きたい」という声が多く聞かれるのだそう。
企業の側からも、「社員にはないスキル・視点・知識がある、教育や育成の必要がなく、その人が関わることで素晴らしい成果が挙げられた」とフリーランスの人材を歓迎する声が多く挙がっています。こうしたことを背景に「フリーランスと企業のマッチングサービスが成長してきています」と田中さんは話します。
さらにWarisが行った「活躍フリーランスの幸せ度実態調査」(2016年12月インターネット上でフリーランスを対象に実施したアンケート調査。有効回答数155)によると、回答者の8割以上が「フリーランスになったことに満足」と答えています。フリーランスになって良かった理由としては、「働く時間と場所が自由」、「ワーク・ライフ・バランスが取りやすい」、「仕事が選択できる」が上位に。家庭生活と両立させながらやりたい仕事ができているワーママ像が浮かび上がってきます。