ダイバーシティ化や女性の活躍促進が進んでいるとはいえ、共働きで子育てや家事を両立させるのは大変です。そんなときにふと視野に入ってくるのが、フリーランスという働き方。一見自由で、制約がなく、好きなことが思い切りできそうに思えますが、実際はどうなのでしょうか

 ダイバーシティ時代を生きる共働きの働き方を探る特集の第5回ではワーママを中心としたフリーランス事情に詳しい専門家と、ファイナンシャルプランナー、そして、実際にお金の問題に直面し、その経験をマンガ本につづった自営業者に話を聞きました

【ダイバーシティ時代の幸せ夫婦☆キャリア計画 特集】
第1回 実例に学ぶ!起業妻&守りのサラリーマン夫の連携
第2回 両立求める妻&攻めの夫が同時転職 さらに転居も
第3回 ワーママの転職 成功する人は条件絞り込みが上手
第4回 夫の転職 共働きは最強のリスクヘッジ
第5回 フリーランス・独立で働き方・お金はどう変わる? ←今回はココ
第6回 フルタイム・時短・在宅の最新実態をアンケート!

フリーランス・自営業という働き方を選ぶ人が増えている

 キャリア転身の方法は、転職ばかりではありません。近年の働き方の多様化、ワーク・ライフ・バランスを重視する傾向から、フリーランスや自営業という働き方を選ぶ人が増えてきています。一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会理事でもある田中美和さんにフリーランスの需要について聞きました。田中さんが共同代表を務める株式会社Warisは、総合職経験10年以上でフリーランスになった女性と企業とのマッチング事業を展開しています。

 「フリーランスで働く人口は、会社勤めを続けながらという人も含めると、現在1122万人を超えています。昨年の1064万人から1年で約5%の伸びになります(ランサーズ株式会社「フリーランス実態調査2017」調査時期:2017年2月14日~18日、2016年2月14日~18日)。フリーランスという働き方は、これまで出版業界などのクリエーティブ領域やIT業界が中心でしたが、最近は職人系やビジネス系の増加が目立ちます。職人系は、家事代行サービスや出張シェフサービスなどの特定のスキルを持った人、ビジネス系は企業の広報や人事、マーケティング担当などです」(田中さん)

 なぜ、人口・領域ともにフリーランスという働き方が拡大しているのでしょう。

 「自身のスキルや経験を生かしつつも、自由度は高く働きたい方が増えているからではないでしょうか。出産やパートナーの転勤、親の介護などのライフステージに合わせて週5日フルコミットではない働き方を目指す方が増え、環境も整ってきているのです」(田中さん)

 Warisの登録者は文系総合職の女性が中心。会社に15年ほど勤め、担当領域をひと通り経験してきたリーダークラスの人が中心で、管理職経験者もいます。そのうち約7割がママで、「時間的制約がある中でやりがいのある仕事に従事したい」、「短時間で“濃く”働きたい」という声が多く聞かれるのだそう。

 企業の側からも、「社員にはないスキル・視点・知識がある、教育や育成の必要がなく、その人が関わることで素晴らしい成果が挙げられた」とフリーランスの人材を歓迎する声が多く挙がっています。こうしたことを背景に「フリーランスと企業のマッチングサービスが成長してきています」と田中さんは話します。

 さらにWarisが行った「活躍フリーランスの幸せ度実態調査」(2016年12月インターネット上でフリーランスを対象に実施したアンケート調査。有効回答数155)によると、回答者の8割以上が「フリーランスになったことに満足」と答えています。フリーランスになって良かった理由としては、「働く時間と場所が自由」、「ワーク・ライフ・バランスが取りやすい」、「仕事が選択できる」が上位に。家庭生活と両立させながらやりたい仕事ができているワーママ像が浮かび上がってきます。

<次ページからの内容>
・ フリーランスとして活躍するために必要な力・心得は何か
・ 独立は片道切符ではなくなってきている
・ 収入と幸福度は相関しないのがフリーランス志向の特徴
・ いつでも、どこでものメリットはデメリットにもなる
・ 「マンガ 自営業の老後」に見るフリーランスならではのリスクと備え
・ 自営業の上田惣子さんが直面したお金の問題
・ 独立前に夫婦でキャッシュフロー表を作っておこう
・ 働き方やお金に自己責任と管理能力が必要になる