期待値を上げないほうがママも楽

 それとともに、ママたちに言いたいのは、夫が家事ができないということを、あまり真剣に考え過ぎないほうがいいですよ、ということ。やはり、あまりパパの家事に対するハードルを上げようとしないほうがいいと思います。なぜなら、どんどんハードルを上げようとするというのは、何か理想を持っていることの表れですよね。そうすると、理想と現実のギャップに苦しむことになりかねません。

 これは、子どもの子育てや教育と同じことです。子どもに「なんでこんな問題ができないの!?」などと、思っていることをつい面と向かって言ってしまうと、「ママは僕に期待ばかりかけて! 本当の僕を知らないんだ!」と、子どもは反発してしまいますよね。

 子どものありのままを受け入れてあげることが必要なのですが、それは夫でも同じです。一度、受け入れたところで、ちょっとだけこういうふうにするとより良くなるし、楽にできるからと伝える。そういう感じで“パパの伸びしろ”を信じてうまくやっていけばいいと思います。

 こんなことを言うと、働いているママたちから「毎日忙しいのに、何で子どもだけじゃなく夫まで育てないといけないの?」と反発を食らいそうですが(笑)、かつてのお見合い結婚ってそうだったと思うんですよ。お互いの情報がないままに結婚すると、ムカつくところもあるけれど、いいところも見えてくる。

 恋愛結婚の場合は、恋愛しているときが夫への愛情曲線はピークで、結婚するとほとんどの人はその曲線が落ちていく一方です。子どもが生まれるとなおさら下降線をたどってしまう。だから、あまり夫に対する期待値を上げ過ぎないほうが、ママも楽になれると思います。

効率の悪い万年新入社員のままではケンカが絶えない

── 一緒に暮らしていれば、誰でも大なり小なり夫婦ゲンカになると思いますが、もうちょっとママに寛容になってほしいと思うパパも多いようです。

 パパがママに求めることとして多いのは、寛容性ですよね。とはいえ、働きながら子育てをするママたちというのは、家庭で常に1分1秒を争っていますからね。会社でいえば、いつまで経っても効率の悪い万年新入社員みたいなパパだったら、口撃されてしまいますよね(笑)。

 家の中はある意味、基本的に治外法権なので、感情論がまかり通ってしまいます。職場では感情的な発言はしないのに、してしまうこともあるでしょう。だから、ちょっと感情的になりそうなときに、一瞬だけでも「ここが職場だったら何て言うかしら?」と考えてみるといいかもしれません。

 男性の多くは、ロジックだとか、説明だとかデータがないと動かない生き物ですから、「どうしてやってくれないの!?」とか、「ダメでしょ!」って言うだけでは何もしません。これをやることで、どんなことがあるのか、その成果物をイメージさせるように声がけすることが大事です。以前紹介したように、「あなたがやらないと息子もこうなるわよ」という話と同じですよね。老後に独り身になったときに家事ができないのは、自分にとってのリスクだし、子どもにとってもリスクになる。だったら、リスクヘッジしなきゃと、考えを変えることができるのです。