職場と同じように家庭生活もマネジメントする

── ママがイラついているな、と思ったら、どうすればいいのか、アドバイスなどありますか?

 そういう質問をする時点で、もうダメですね(笑)。「見ればわかるでしょ!」っていう話ですから。と言いつつ、僕も最初はそうでしたけどね(笑)。でも、これも、すべて職場に置き換えてみるといいと思います。朝、出社したら、「今日は何やるんだっけ?」と、その日の仕事の組み立てをどうするか考えるじゃないですか。家庭生活もそれと同じです。

 帰宅して、洗い物が残っていて気になったのであれば、洗っておけばいい。出社までにちょっとでも余裕があるなら、ゴミ出しをしたり掃除機をちょっとかけるだけで、疲れて帰宅してきたママも少しは楽になれるじゃないですか。そういう小さな積み重ねが大事だと思います。

 ですから、家庭生活におけるマネジメントですよね。職場では、コレを準備しておけば会議がスムーズに進むかもしれないとか、営業がうまくいくかもしれないと考えてやるじゃないですか。そういう感覚が家庭でも必要なんです。うまくいかないパパの話を聞いてみると、「なんで会社ではできているのに、家庭ではできないの?」っていうことが多いですよね。

 家事の基本というのは、「次に使う人が困らないように」とか「気持ちいい」ということですから。義務感を持ってやるものでも、当番制でキッチリと決めてやるものではないと思います。職場では当たり前にできていることを、家庭に置き換えてみることで、僕は家事ができるようになりました。

 気づいた時にできるようになると、感謝されたり、妻が笑顔になったりと、大きなリターンがありますよね。それが3回くらい続くと、自分の価値観が変わっていく。こっちのほうがハッピーなんだ、気持ちいいんだ、自分も楽だと思えるようになる。そうなると、続けることができますよね。

家事をしないパパにママが声がけするには?

── パパが家事をしない家庭のママの話を聞くと、「レンジのチンもしてくれない」とか、「皿洗いを頼んでも、コップひとつさえ洗ってくれない」といった不満が大噴出します。これは、ママ向けアドバイスになりますが、ママは家事をしないパパにどう声がけするのがいいのでしょうか?

 そういう場合は、「今は私がいるからいいけれど、このままだと、老後にあなたどうなるか分かる?」って言えばいいんですよ(笑)。

 コップひとつさえ洗わないというのは、そういう教育をされないで育ったからでしょうね。だから、パパを責めても仕方ない話かもしれない。もしかしたら、パパを育てたお母さんを責めるべきかもしれませんよね(笑)。僕も含めて、40代以上の男性というのは、シッカリ勉強していい学校に進学して、いい会社に入りなさいとしか言われていませんから。

 ひとり親家庭だとか、親が商売やっていて忙しいという環境で育った子どもであれば、小さい頃から家事をしている同級生はいましたが、専業主婦の家庭だと、母親がなんでもやってくれる。それと同じことを、自分が親になってやってしまったら良くないですよね。パパと同じように息子の身の回りのことを全部やってしまったら、同じく家事をしない男性になってしまいます。先ほども言いましたが、家事をしない男性とは結婚したくない女性が増えていますから、男の子の人生にとっては、大きなリスクになります。

 だから、子どもが男の子だった場合は、「家事ができない男って、モテないよね」って言えばいいんじゃないでしょうか(笑)。すると、「オレの背中を見てこいつは育つから」と考え直して、少しでも家事を始めるパパが増えると思いますね。

(取材・文/國尾一樹 写真/小松顕一郎)