育児も家事もうまくこなすために必要なこと

── 育児や家事を、新米パパがうまくこなせるようになるためのコツなどありますか?

 これはもう、「質より量」に尽きますよね。まずは、量をこなしていくことです。僕も最初はオムツ交換ができなかったんですよ。オシッコのほうはできたのですが、どうもウンチが……。それを見ていた妻に叱られました(笑)。そこで、義務ではなくて、どう楽しむかということを考えて、「あ、そうか、子どものウンチは情報なんだ!」と気づいた。ウンチには、子どもの体調のことなど最先端情報が詰まっている。「その情報をしっかりキャッチするのが僕のタスクなんだ!」と思うようになれたら、楽しくなったんです(笑)。

 それまでは、心のどこかでウンチのオムツ交換はママの仕事だと思っていたんでしょうね。そんな自分が今ではとても懐かしいですけどね(笑)。男性には、育児に関して変な壁と言いますか、決めつけみたいなものがあって、それが育児をするときに邪魔になってしまう。そこはトレーニングしながら取っ払っていくべきだと思います。取っ払ってしまえば、後は何てことなかったなっていうことばかりですからね。

ママをケアする間接育児も考える

── 特に授乳期ですと、赤ちゃんが泣いたり、寝かしつけのときなどは、やはり授乳が必要ということで、パパが積極的に関わろうと思っていても入り込めない状況が多々あるかと思います。その場合はどうすればいいのでしょうか?

 もちろん、男性は授乳できないわけですからね。そこで必要なのは、授乳しているママの精神的なケアでしょう。これを、「間接育児」と言います。これが重要なのです。イクメンと言うと直接育児のことばかり考えてしまいがちです。オムツを変えたり、お風呂に入れたり、一緒に遊んだり、読み聞かせをしたり…。そういったことは、授乳期を過ぎた後くらいからどんどん積極的にやっていけばいいと思います。産後は、ママの直接育児の負担が大変ですから、パパは「間接育児」をやるべきですね。

 だから、夜泣きや授乳によるママの寝不足を解消してあげるとか、ママの話を聞いてあげるなど、受容と共感といったこともパパにとってはとても大事な育児の一部と考えるといいでしょう。それによってママが精神的に安定すれば、子どもにとってもいいことです。今思えばとても大事なことなのですが、それを僕も最初は分からなかったんですよね。ママがイライラしていると子どもにそれが伝わってしまい、子どもが荒れてくるのを見て、考え直すようにしました。

 ユニセフの報告書などでも書かれていることですが、精神的に安定しない子どもの後ろには、必ず何かで困っているとか精神的に弱っている親がいる。だからこそ、親への経済的支援、あるいは時間や文化的な暮らしをちゃんと提供することが、子どもの成長や幸せに繋がっていく、ということです。僕は本当にその通りだと思うんですよ。だから、パパたちは子どもを幸せにしたいなら、まずはママに笑顔になってもらうために何をすべきかということを、常に考えるべきだと思います。

 わが家の話で言いますと、娘が1歳になる前の妻の誕生日に、あるモノをプレゼントしたら、「今の私にモノは必要ない」って言われてしまったんですね。じゃあ、何が欲しいんだろうと自分なりに考えてみたら、「やっぱり自由な時間だな」と。

 それで、次の誕生日からは時間をプレゼントするようにしました。「ちゃんとできないかもしれないけれど、今日は僕が娘を見ているから、1人で出掛けておいでよ」と言ったら、ものすごく喜んでくれました。時間のプレゼントは今も続けていますが、ママは自分の時間がたまには欲しいと思っているんですよ。特に、授乳期のママたちからは、「ゆっくり1人でコーヒー飲む時間が欲しい」という声をよく聞きます。