通信教育を上手に使うには、継続するための仕組みづくりが重要
小学生の家庭学習に使う教材として人気の通信教育。「進研ゼミは学校の授業の補習に」「Z会はさらに発展した学習に」というように、それぞれ棲み分けがされ、どちらにも良いところと弱点がありますが(詳しくは第3回記事『公文・進研ゼミ・Z会 気になる教材徹底比較』を参照)、共通して言えることがあります。
「それは、通信教育で勉強をするには、続くための仕組みを作っておくことが大事ということです」と話すのは、勉強のやり方を教える塾「プラスティー」代表の清水章弘さん。
「よく塾に入れれば、成績が上がると思い込んでいる親御さんがいます。しかし、塾の授業を受けていれば成績が上がるわけではありません。どんな優秀な子でも、学習を定着させるには家庭学習が大切です。通信教育もそれと同じで、どんなに真面目な子でも、子どもに丸投げをしてうまくいくことはまずありません。学習を定着させていくには、家庭でどこまで見られるかがポイントになります」
「小学生の子どもに家庭学習を習慣化させるには、毎日決まった時間に取り組ませることが大事です。例えば、夕食前の18時~19時の1時間を勉強時間にするなど、勉強をやる時間を決めておくと、習慣化しやすくなります」
「では、勉強時間が決まっていれば、子どもは進んで勉強をするのかと言えば、そうとも限りません。小学生はまだ精神的に幼いので、親の関わりなしでは難しいでしょう。1時間張り付いている必要はありませんが、開始時間に『さぁ、そろそろ始めようか』と促したり、『今日はどこからどこまでをやるんだっけ?』と内容を確認したりして、“一緒にやっている感”を伝えてあげましょう」
「終了時間が来たら、『何か分からないことはなかった?』とつまずきを確認したり、『すごい! こんな難しい問題が解けたんだね。これってどうやって解いたの? お母さんに教えて!』とわざと分からないふりをして、子どもに説明をさせるといいでしょう。人に説明をすることでアウトプットができ、知識が定着します。そうやって親が関わることで、モチベーションを維持させていくのです」
「モチベーション維持と言えば、通信教育の特徴の一つに添削問題があります。例えば進研ゼミでは、赤ペン先生という愛称で親しまれている先生が、子ども一人ひとりに合わせた添削指導や、モチベーションアップにつながる“褒め”や“励まし”をしてくれます。それがうれしくて頑張る子ならいいのですが、実は通信教育がウリにしている添削というのは、子どもにとってはそれほどうれしいものではなかったりもするんですね。というのも、添削問題を出してから、解答が返ってくるまでにタイムラグがあり、その間に子どものモチベーションが下がってしまうのです。そういう点では解いたらすぐに答えを確認できるタブレット学習のほうが、子どものモチベーションを維持しやすいかもしれません」