「笑っているパパ」を増やそうと活動を続けてきたNPO法人「ファザーリング・ジャパン」(FJ)の代表として全国を飛び回り、数多くの新米パパ&ママのための両親学級をはじめ、イクボスセミナーなど、数々の講演をこなしてきた安藤哲也さん。「仕事も家庭もうまく回したい!」と思うパパに向けて、人生戦略の組み立て方やそのコツ、考え方などについてお伺いする新連載がスタートします。第1回目は、いまどきのパパの現状と、笑っているパパになるために最初に考えることについてです。

育児・家事をしない「免罪符」はなくなった

── 最近では、イクメンという言葉が定着したなかで、仕事と家庭の両立に悩んでメンタル面が弱ってしまう「イクメンブルー」なる言葉が使われ出しました。子育てをするいまどきパパたちに何が起こっているのでしょうか?

 10年前くらいから米国では、産後にママが陥るマタニティブルーと同じような症状になるパタニティブルーというのが話題になっていて、日本でもそれが紹介され始めたんですよね。いずれ、日本にも来るだろうと予想していたのですが、案の定、ここ1~2年でメディアが「イクメンブルー」という言葉を使い始めたというのが流れです。

 ちょうどその頃は「働き方改革」がリンクするように始まった時期で、もやもやしているパパがたくさんいることは分かっていましたから、その解決法のヒントになるような本をということで、『「パパは大変」が「面白い!」に変わる本』を出版しました。

 かつては、育児・家事はしなくてもいいという“免罪符”が日本の男性には常にあったと思います。しかし、今の30代から下の若い世代のパパになると、これだけ「イクメン」という言葉が定着してきて、パパも積極的に育児や家事に関わるのが当たり前のように思う人の割合は多くなっています。しかも、働くママも約7割という時代。そういう環境のなかで、パパの外堀は埋まってきてしまっているので、育児・家事をしなくてもいいという免罪符はもうなくなってしまったわけですね。

 たぶん、これからの時代、「僕は育児も家事もしない」と言ってしまったら、ほとんどの女性が結婚してくれないと思います。これは冗談ではなく、本当にそんなレベルにまで来ているでしょう。ある結婚情報サイトがリーマンショック直後に調査したところ、女性がパートナーに求めるものとして「家事・育児への協力姿勢」が1位になりました。

 それまでは、収入だとか仕事の安定性だったのですが、女性たちは既に先を見越していたんですよね。これからは、夫だけの給料では賄っていけない時代になるから、自分もシッカリ働きたい。だったら、「育児・家事をもっとやってよ」と夫に言うのが当たり前になってきた。それが、6~7年くらい前のことです。

安藤哲也 1962年生まれ。出版社、書店、IT企業など9回の転職を経て、2006年にファザーリング・ジャパンを設立。厚生労働省「イクメンプロジェクト推進チーム」顧問、内閣府「男女共同参画推進連携会議」委員などを歴任。NPO法人タイガーマスク基金代表も務める。二男一女の父。新著に『「仕事も家庭も」世代の新・人生戦略 「パパは大変」が「面白い!」に変わる本』など