「普段家族と生活できる、それだけで幸せだと感じる」

 絵で描くからこそ、凝縮された思いもある。


「夫も子どもも応援してくれているんだけど、私は髪の毛が抜けてしまって泣いている。家族の強さに救われた」

  「一番怖かったのは、ちょうど去年の3月に『乳がんの可能性が高いです』と医師から言われてから、結果が出るまでの間。ほぼ自分ではダメだと思っているんだけど、まだどこかで希望を持っていて、でもやっぱりがんなんだろうな……と。祖母も祖父も長寿だったから、私は長寿だと思っていて、年齢的にも自分の親に何かあったらどうしようとばかり思っていました。当時は、この絵に象徴されているように、親も家族も気丈に振る舞ってくれる中、私だけが泣いている状態。長女は繊細な子だったので心配したけれど、『やっぱり』と涙を流した後、仕方がないことだと受け止めてくれました。夫は1回だけ泣きました。それ以降は『信じてるから、泣くのはやめた』と言って、私がぼろぼろの状態だったときでも、子どもとげらげらと笑って遊んでくれたりするんです。心の中は、絶対に不安なのに……。それは、私が逆の立場だったらできなかったなって思います。夫に『どうしてそんなに強くいられるの?』と聞いたら、『俺にできることをやるだけだ』と言ってくれて。日々頑張ってくれている夫に本当に感謝しています。今年1月には、下の子がおみくじを作ってくれて、その中の1つに『髪の毛が生えてくるだろう』と書いてありました(笑)。子どもたちにも感謝。なかなか当たり前になっていて伝えられないんですが、今日帰ったらちゃんとありがとうと言います」(10歳、5歳の母、乳がん)

 家族や周囲の温かさに支えられ、今年3月には、結婚前に外国で出会った友人3人と東京での再会を果たしたとほほ笑む。

 「帰りの新幹線の中で、病気になる前にはなかった『また会いたい』『もっと生きていたい』と猛烈に湧き上がる気持ちが切なくて。友達には、病気のことも直接話したら、後から友達3人ともお守りを送ってくれて、人の祈りを感じました。キャンサーペアレンツを通じて出会った皆さんとも、祈り合うことで強くなれる。特定の宗教は信じていないけれど、祈る人がどんどん増えていく感じです」

 男性同士のチームの間では、家族に残す資産についての現実的な話題も挙がっていた。「父親の立場からは、いかに家族に残せるかというのが気がかりですね」とは、西口さんと同じ胆管がんを患う9歳・7歳・5歳のパパ。


がんの当事者である父親同士、仕事やお金、今後についての現実的な話を率直に語り合う

 「生命保険はがんが分かる以前から入っていて、最近家をローンで購入しました。自分に万が一のことがあったときには、保険金が入ってローンは完済できる。普段の生活は、遺族年金で賄う。計算するとたぶんいけそうだと」

 「妻は僕の病気のことを知って、まず子どもに話をしてくれました。治療のために東京で7カ月間療養したときも、家族で一緒についてきてくれて、子どもたちは今でも、『パパと一緒に闘った』『あのとき、みんなで頑張ったよね。だからパパはママをずっと大事にしてよ』と言ってくれます。子どもたちも僕の病気に向き合って、受け入れてくれていますね。とはいえ、自分自身はいつもそういうときばかりではありません。検査の結果が悪かったら落ち込みますし、気持ちが不安定になるときもあります。自分で意識はないけれど、検査が近くなると、子どもにも妻にも笑わなくなると言われます。やはりどこかに今度もし検査の検査が良くなかったらという意識があるんでしょうね。でも、良いときも良くないときも家族にはそのまま伝えて、何もなければ『良かったね』と言ってくれる。がんになった当初は何か遺書とかを書いたほうがいいかなとか色々考えたんですが、何かを子どもに伝えるというよりも、一日一日、今が楽しく過ごせればそれが一番いいかな、と。普段家族と生活できる、それだけで幸せだと感じます」

 参加者一人一人の声からは、心身ともに不安定なときも前向きなときも、ありのままを受け入れてくれる、子どもや家族、仲間の存在の大きさを改めて感じた。