一緒に絵本を開いて、ただ楽しむ

—— 確かに、ママバージョン、パパバージョンがあると、子どもも楽しいかもしれないですね。

中井 わが家の場合ですが、オランダ生まれの有名な絵本のキャラクターにミッフィーちゃんというウサギのキャラクターがあるじゃないですか。あの絵本シリーズを、夫が長女に読み聞かせしたときに、「あひるのうさこちゃんが……」って始まったんです。

 ミッフィーちゃんってウサギなのに、なんでアヒルなんだろうって思って絵本をのぞいてみたら「あるひ、うさこちゃんが」を「あひるのうさこちゃんが」だったんですね(笑)。これはもうダメだって思って、すぐに交代しました(笑)。

 とはいえ、ママにはママなりの、パパにはパパなりの楽しい読み聞かせができるはずですからね。私の夫などは、近所の男の子たちを勝手に主人公にしてメチャクチャなストーリーを作ってよく聞かせて遊んだりもできますし、パパなりの野太い声で楽しませるのに向いた絵本の読み聞かせというのもありますから。

 最後に言いたいのは「子どもの成長のために読み聞かせをしなきゃ」と義務感を持つようにならないでほしいということですね。そういうふうに思って子育てをしてしまうと、時間がないときにどうしても苦しくなってしまいますから。ママもパパも余裕があるときでいいんです。子どもと一緒に絵本を開いて、ただ楽しむ。そういう時間をたくさん持っていただけると、それがきっと宝物になる。そんな感じでいるのがいいのではないかと思います。

中井貴惠さんオススメ絵本

 最後に、中井貴惠さんに子育て中のママ&パパが子どもと一緒に読み聞かせを楽しむのにオススメの絵本をご紹介いただきました。

 きいろいばけつ 

 (作:もりやまみやこ 絵:つちだよしはる 出版社:あかね書房)

【本の内容】
きつねの子シリーズ5冊のうちの一冊。主人公のこんすけにはずっと前から欲しいと思っているものがあります。それはきいろいばけつでした。そんなこんすけがある日野原できいろいばけつを見つけたところから物語が始まります。誰のかも、どうしてここにあるのかも分からないきいろいばけつ。皆さんならこのばけつ、どうしますか。こんすけはこのきいろいばけつと思いがけないステキな時間を一緒に過ごすことになります。

【オススメポイント】
大人の私たちならみんなこんな体験を一度はしたことがあります。これから大きくなる子どもたちもこんな体験を重ね大人になっていくのです。人生の忘れかけていた大切なことをもう一度思い出させてくれるちょっぴり切なくステキなお話。

【読み聞かせのポイント】
もりやまみやこさんの大変美しい日本語でつづられた童話。口語で使わない言葉も子どもたちが「これどういう意味?」と聞かない限り大人は読み進めること。声を通して、美しい日本語を子供どもたちにたくさん伝えてください。

 パパはジョニーっていうんだ 

 (作:ボー・R・ホルムベルイ 絵:エヴァ・エリクソン 訳:ひしきあきらこ 出版社:BL出版)

【本の内容】
両親が離婚し、ママに引きとられているぼくが、ママの許しを得てパパと過ごす一日の物語。

【オススメポイント】
日本の絵本には「離婚」を描くような作品は少ないですが、離婚した夫婦とその中で生きるぼくと、パパの素直な気持ちに心動かされます。子どもはママもパパもやっぱり大好きということを素直に伝えてくれる絵本。

【読み聞かせのポイント】
さらっと明るく読んでください。でもきっと子どもに読み聞かせながら、大人が色々なことを考えることでしょう。

 おじいちゃんがおばけになったわけ 

 (作:キム・フォップス・オーカソン 絵:エヴァ・エリクソン 訳:菱木晃子 出版社:あすなろ書房)

【本の内容】
突然心臓発作で死んでしまった大好きだったおじいちゃん。このおじいちゃんがある日突然、孫のエリックの前におばけになって現れます。人は死んだ後どんなときにおばけになるのか。「おばけの本」には「人はこの世に忘れ物があるとおばけになる」と書いてあります。2人はおじいちゃんの忘れ物を探し始めます。おじいちゃんの忘れ物は一体なんだったのでしょう。

【オススメポイント】
大切な人の「死」をきちんと正面から捉え、そして読後、それぞれの読者がその「死」を心の中で浄化することができる素晴らしい絵本。

【読み聞かせのポイント】
読み手も聞き手と一緒にドキドキしながらおじいちゃんの忘れ物探しをしてください。

<関連サイト>
■大人と子供のための読みきかせの会 公式サイト http://konsuke.com/
■7/1『大人も子供も絵本の世界へようこそ 2017』開催!中井貴惠オフィシャルサイト インフォ http://nakaikie.com/info/

(取材・文/國尾一樹 写真/品田裕美)