学校の先生たちを邪魔するのは、社会の「“丸投げ”する風潮」
「もっと授業の準備に時間を使いたい」「『いつ職員室に行っても先生がいない』と生徒から言われるのが悲しい」――。様々な地域で小中学校の先生から、こんな声を聞きました。
先生たちに帰宅時刻を尋ねると、17時台と答える先生はほとんどおらず、18時台に帰宅できれば良いほう。多くは20時、21時台です。「本当は19時台に帰宅したいのですが、仕事が多いため、授業準備に着手できるのが19時すぎです」と、ある先生は言います。
また「生徒の様子が気になるから『話したいときはいつでも職員室に来て』と声をかけるのですが『だって先生、いつもいないじゃん』と言われてしまう。それが事実だから悲しい。もっと生徒と話をしたいのに」という声も聞きました。
一番大事なはずの生徒対応や授業準備が後回しになるのは、他にやることが多いためです。特に問題なのは「なんでも学校に任せる社会の風潮」です。例えば、ある県の先生は「給食に使う食材の地産地消が推奨されています。そのメニューを考えるのも学校の仕事。予算もあるので、質がよくおいしい県産食材をたくさん使うと、別のところで節約しなくてはいけない。それを考えるのも学校なのです」と言います。
「県や市から『スポーツイベントの会場に学校を使いたい』と言われたり、『その指導をしてほしい』と頼まれたりすることがよくあります。放課後や休日を使って指導するのですがその代休を取れないのです」。この先生の話では、イベント当日に運営を手掛ける自治体職員は代休を取れるそうですが、学校の先生は「イベントに会場を提供しているから手伝わざるを得ない。実質的にサービスで休日に労働している形になっています」。