教育委員会や市町村、県への「報告書」が多過ぎる

 学校現場の仕事を増やすのは、県や市など自治体だけではありません。「企業が募集する作文コンテストなどのお知らせや回収も学校に回ってきます。生徒に説明して集めて、梱包して送付する。作業を任されるのは若い先生で、いつも忙しそうです」。

 ただし、こうした仕事は授業や生徒対応ではないものの、子どもたちに直接関係するため、意義は感じられるかもしれません。忙しい先生たちに追い打ちをかけるのは、教育委員会や市町村、県に対する「報告書」が多過ぎることです。

 「人手不足を解消するため、学校現場で特定の分野をサポートする人が派遣されることがあります。問題は、その人ができる業務が限られていること。担当分野以外のことは頼めません。そして『その人が来たことで、業務がどれくらい改善したか』という報告書を書かなくてはいけません」。負担軽減を目的にした施策の有効性を測るため、かえって仕事が増えてしまう、というのです。

 「教育委員会は、市町村や県に予算の効果を説明しなくてはいけないから、仕方ないのですが」と報告の意義は理解されているものの、結局、先生の忙しさは終わりが見えません。

 こうした「現場の声」はデータからも裏付けることができます。

 書類作成や課外活動の時間が長いことは、海外と比べた日本の先生の特徴だと言えるからです。34カ国を対象に行われた「OECD国際教員指導環境調査」によれば、日本の先生の勤務時間は週53.9時間と国際平均の38.3時間と比べて15時間も長くなっています。

 特に、日本の先生の労働時間を長くしているのは、部活と事務作業です。課外活動の指導時間は国際平均2.1時間に対し、日本は週7.7時間。事務作業にかける時間も国際平均2.9時間に対して、日本では週5.5時間です。

 最近、世論の後押しもあり、部活指導については改善策が議論され始めています。