管理職次第でワーママは成果を生む

 ワーママが力を発揮するためにも、重要なのはその上司となる管理職のサポート体制だ。ワーママを支える管理職にとって大切な管理行動の上位は以下の通り。

1位 職場のメンバーの助け合いを評価する
2位 責任ある仕事を任せる
3位 職場の負荷を見える化する

 「ワーキングマザーだからと業務を減らし過ぎたりするのは逆効果。責任のある仕事を任せたり、ワーキングマザー以外も含めメンバーの助け合いをきちんと評価したりすることが大切です。ワーキングマザーだけでなく、職場全体を動かすことが求められているのです」と中原先生は解説した。

 仕事に充実感を持っているワーキングマザーの職場の特徴で多かったのは、

1位 仕事を抱えているメンバーの手助けをする
2位 目標を達成しようという雰囲気がある
3位 お互いに競争意識を持っている

 これを見ても、ワーキングマザーが働きやすい職場というのは、決してワーキングマザーだけ優遇されたり保護されたりするのではなく、職場の誰しもが働きやすく協力できる雰囲気があるのが分かる。

 「女性が活躍できないのはロールモデルがいないからだ、というようなことがよく言われますが、それは幻想にすぎません。今回の調査でも、ロールモデルの有無は男女ともに50%前後が『社内にいる』と答えており、その数値は大差はありませんでした。それよりは誰もが長く生き生きと働ける環境づくりが重要です」(中原先生)

 働き続けたいという意欲ある女性が多い一方で、それが生かし切れていない現状も浮き彫りになった今回の調査。女性たちには、仕事の効率化とともに日ごろから周囲とコミュニケーションを取り、仕事を上手に分担していけるような環境づくりが鍵となりそうだ。一方で、管理職には、メンバーの仕事の負荷や分担をきちんと把握し、長時間労働で決して能力を測らない職場づくりが求められる。

(取材・文/岩辺みどり イメージ写真/吉澤咲子)