スポーツを通して生きた英語を学ばせたい

――その後、2002年に日本に戻られて、オリックス・バファローズに入団。3年で退団された後は、世界中のプロ野球リーグで野球をされました。

マック その頃は完全に生活のために野球をしていました。でも、このときも英語が役立ちましたね。自分で海外の球団のつてを頼ったり、友人の外国人選手に誘われたり、自分で球団と契約交渉もしていました。これからの時代、何をするにしても、英語ができるということが自分の身を助けることになると強く感じましたね。

――その思いが、マックさんが今年開校した「英語野球教室」につながるわけですね。

マック そうですね。今年4月、「マック鈴木の英語野球教室」を東京都足立区でスタートしました。元々英語で野球を教えたいという構想は自分の中にあったのですが、既に日本語で野球をやっている子どもに、いきなり英語でやれというのは難しい。そこで、英語も野球もまだ本格的に学んでいない5~10歳の子どもたちを対象に、遊び感覚で英語を覚えられる環境を作ることにしました。スポーツとセットにすることで、座学では得られない肌感覚の英語を覚えられると思っています。

 レッスン中のコミュニケーションはすべて英語。教えるコーチも、外国人やアメリカ、海外での野球経験のある人だけです。スポーツコミュニケーションを通して、“生きた英語”を身に付けることを目的としています。

――開校して2カ月がたちますが、ここまでの状況はどうですか。

マック 手ごたえはすごくありますね。「英語とスポーツを習わせたかったので、1カ所で同時に学べてありがたい」とか、「元メジャーリーガーに野球を教わることができるのは貴重」とか、喜んでいただけていると思います。将来的には日本全国に分校を作って、そのチーム同士で完全英語での野球の試合をやったり、アメリカへプチ留学をしたり、そういうことを実現できたらと考えています。

 プロ野球選手という職業は、年間で100人前後しか誕生しない狭き門です。しかし、引退するのは平均で28、29歳と言われています。大卒で入団したとしたら、せっかく夢が叶っても6、7年しか在籍できないわけです。そこから先の人生を考えたとき、もし英語ができたら、球団の通訳になるとか、海外スカウトになるとか、それこそアメリカの球団に転職する道もあるかもしれない。普通の野球選手より選択肢が広がるわけです。

 僕は、野球選手でなくとも、英語をプラスアルファの武器としてこれからの人生を生きていける人材を育てていきたいと思っています。「マック鈴木の英語野球教室」が志向するスポーツを通じての英語教育を通して、少しでもそういう子どもを増やしていきたいですね。

<関連サイト>

マック鈴木の英語野球教室
http://englishbaseball.com/

(取材・文/日経DUAL編集部 田中裕康 撮影(P1、2)/川田雅宏)