2015年にも特集し、大きな反響があった「ワーママの転職」。最近の動向はどうなのでしょう。実は、現在は“人手不足の売り手市場”と言われていて、ワーママも転職しやすい状態なのだそう。とはいっても、子育てや家事とのバランスが必要なワーママにとって、転職は気軽に考えられるものではありません。転職しようか迷ったときはどうしたらよいか? 上手な転職の方法は?などについて、転職エージェントKEY ROLE代表で、ワーママの転職事情に詳しい兼吉ともこさんにお伺いしました

【ダイバーシティ時代の幸せ夫婦☆キャリア計画 特集】
第1回 実例に学ぶ!起業妻&守りのサラリーマン夫の連携
第2回 両立求める妻&攻めの夫が同時転職 さらに転居も
第3回 ワーママの転職 成功する人は条件絞り込みが上手 ←今回はココ
第4回 夫の転職 共働きは最強のリスクヘッジ
第5回 フリーランス・独立で働き方・お金はどう変わる?
第6回 フルタイム・時短・在宅の最新実態をアンケート!

兼吉ともこさん
大学卒業後、上場機械メーカーに入社し、約18年営業部に所属。産休・育休取得第1号として産後約5カ月で復職。2009年キャリアカウンセラー資格を取得し、退職。半年間の専業主婦を経て、外資系保険会社のコンサルタント職を経験後、総合人材会社に入社し、人材紹介業、採用関連業務を担当。2014年株式会社KEY ROLEを設立し、営業職および管理部門の人材紹介を行っている。

6~7割は、転職先よりも現在の職場のほうが条件も環境も良い

 兼吉さんに、ワーママの転職の動機にはどんなものがあるのか聞いてみました。「派遣や契約社員から正社員へ、あるいはその逆の雇用形態の変更のほか、環境の改善、自分の興味があることをやりたいという希望理由が目立ってきています。『働く理由』という本質的なところを考える人が増えているのかもしれませんね。女性は正義感・倫理観が男性よりも強いので、会社からの納得できない要求に対してストレスを感じている話をよく聞きます。特に、出産を経験すると、価値観がガラッと変わって社会的貢献度が高い仕事をやってみたいという気持ちが出てくる人もいます。例えば、『女性や子どもを支援する仕事をしたい』という声もよく聞きます」。反面、具体的に何をしたいのか、というレベルまで考えている人は少ないようです。

 「カウンセリングで話を聞くと、ワーママの6~7割で現在の職場のほうが、転職先よりも条件も環境も良い場合が多いです。というのも、政府の呼びかけなどもあり、多くの企業で女性が働く環境が整ってきているからです。そのため、すぐに転職活動を始めるというよりも、まずは現職で働きながら、次にやりたいことへの準備を、具体的に期限を決めて行うということで落ち着くケースが多く見られます。結果的に、実際に転職する方よりもそのまま現職に留まる人が多いですね」。

 ワーママの転職による年収の変化も気になるところ。大切なのは、キャリアを途切れさせないようにすることだと兼吉さんは話します。「ママになってもペースを落とさずバリバリ働き続けてきた人は高い年収を維持して転職を決めていきます。ワーママの年収は二極化していて、マネジメントを経験し年収500万円以上のハイクラス転職ができる人がいる一方で、子育てや家事の時間を確保しながら、年収300万円程度で働く人もいます。その中間の年収レンジは、ワーママよりも自由度が高く、吸収力がある20代の労働者との競合になるため、ワーママは不利になります」

<次ページからの内容>
・企業側が多様な働き方を受け入れるようになっている
・年収? 勤務時間? 場所? 優先順位がはっきりしている人は決定が速い
・転職が決まらない人に多い3つの特徴
・子どもの性格、受験、夫の仕事の状況なども考慮が必要
・転職はまだ先でも自分のキャリアを棚卸してみよう
・兼吉さんに聞いた転職成功の5つのルール