もう猶予がないという危機意識がある

村井 熱は高まっています。確実に法改正の方向性に向かっていると思います。ちなみに介護保険は議論が始まって実現まで10年もかかったんです。こども保険はそれほどの猶予はないと思って頑張っています。

駒崎 東京オリンピックの年までに、子どもを社会全体で支える社会システムが機能し始めていたら、世界にも誇れますよね。

小泉 できるだけ早く! もう猶予がないという危機意識が僕たちを突き動かしていることをぜひ広く皆さんに知っていただきたいと思います。世の中が動く瞬間というのは、政治家が動かすというより、もともと皆さんが持っていた思いを政治家が受け止めて行動することで、時代が動くんです。最近の例では、「保育園落ちた、日本死ね」という叫びでしょう。あの言葉自体にはいろいろと意見はありますが、その叫びに政治も向き合い、世の中に変化が生まれたではありませんか。

 今回のこども保険に対してもネーミングや制度設計上の論点はたくさんあると思います。しかし、これほど政治家が覚悟を決めたボールが投げられたことはありましたか。少しでも共感してもらえる方がいたら、もう政治が無視できなくなるくらいの声を挙げていただきたいんです。批判でも、文句でも歓迎します。たとえ少数派ではあっても、自分たちの世代を代表するつもりで、目先ではなく将来の社会のための勝負をした政治家の後押しをしてもらいたい。ぜひ声を挙げてください。未熟な点は僕たちがしっかりやっていきますから。

駒崎 力強い言葉をいただけました。これからも頑張ってください。

(文/宮本恵理子 撮影/鈴木愛子)