こども保険は政治的な落とし所などでない、本気のメッセージ
日経DUAL編集部 世の中全体としてはシニア世代を守ろうとする風向きが強く、自民党党内の政策も高齢者を重視してきた流れの中で、お二人がここまで本気になって行動され、実際に風向きを変えつつあるのはなぜだと思いますか?
小泉進次郎衆議院議員(以下、小泉) 勝負したということではないでしょうか。空気を読まず、自分の意見をハッキリと言うと必ず敵ができるんです。しかも、今回は落とし所も見えてない。政治の世界というのは、「最初から落とし所が見えている勝負」ばかりなんですよ。大体この程度で着地するだろう、という無言の承認の中で事が進んでいくという。
今回のこども保険は「党内で賛成してもらえるかも分からない、世の中がどう反応するかも分からない。だけど、今やるしかないからやってみようぜ」という気持ちだけで始めました。僕たちの世代だからこその危機感や覚悟が伝わったのだと思います。もちろん批判も受けていますが、「悪名は無名に勝る」という通り、批判さえ起きなかったら勝負にならないんです。特に政治の世界は綺麗事だけ言っていればいいような生やさしいものではないから、誰からも嫌われないようにするには何も言わないほうがいい。何も言わないほうが大ケガしないし、選挙も有利に進めやすいでしょう。でも、万人受けする政策だけを狙っては、真の友を得られないのと同じこと。
今回はそういう意味で、僕自身、勝負をしたという実感がありますし、それが周りにも良くも悪くも伝わっていると思います。こども保険がどういう落とし所になるかは、現時点でも分かりません。でも、少なくとも本気のメッセージであることは伝えたいですね。
駒崎弘樹(以下、駒崎) 確かに追い風ばかりではありませんよね。こども保険が目指す幼児教育無償化の前に、待機児童解消じゃないのかという批判もあったと思いますが、これについてはどうですか?