ダイバーシティ時代に共働き夫婦はどんな働き方ができるのでしょうか。実際の夫婦を働き方を調査し、専門家に意見を聞いたこの特集。第2回は、一旦は専業主婦になった妻が正社員になるまでの経緯と、そんな妻に刺激されて自らもステップアップを果たした夫の実例です。転職は売り手市場と言われる昨今ですが、専業主婦からの復職には難しさもあるようです。建築士への夢を持つ夫は最終的な目標に向かってどのような結論を出したのでしょうか。比較的保守的な夫と両立を求める妻の関係の変化にも注目です。

【ダイバーシティ時代の幸せ夫婦☆キャリア計画 特集】
第1回 実例に学ぶ!起業妻&守りのサラリーマン夫の連携
第2回 両立求める妻&攻めの夫が同時転職 さらに転居も ←今回はココ
第3回 ワーママの転職 成功する人は条件絞り込みが上手
第4回 夫の転職 共働きは最強のリスクヘッジ
第5回 フリーランス・独立で働き方・お金はどう変わる?
第6回 フルタイム・時短・在宅の最新実態をアンケート!

家族のプロフィール
塚崎 恵さん(仮名): 新卒で大手食品メーカーに入社し、5年間営業職を経験。27歳で結婚し、ブライダル業界へ転職。退職していったん専業主婦になり出産。30歳で素材メーカーの営業職に紹介予定派遣で再就職。同年外資系食品メーカーに転職し、第2子を出産。現在は育休中。来年4月に職場復帰予定。
雅浩さん(仮名): アメリカの大学で学び、新卒で日本のゼネコンに入社。25歳で外資系環境コンサルティングファームに転職。約5年間グローバル案件のコンサルティングに従事。30歳で現職のコンサルティングファームに転職し、現在はクライアントの業務改革戦略立案、実際の業務改革等の支援を行っている。
長女・長男: 長女は保育園に通う4歳児。長男は生後8カ月。

いったん専業主婦になったら、再就職は茨の道

 妻の恵さんは新卒で大手食品メーカーに入社し、量販店やコンビニエンスストアの本部相手の営業を5年間経験。しかしワーママが少なく女性管理職はゼロ、半数の女性社員が結婚を機に退職する環境でした。5年間の勤務で達成感を得た恵さんは、他の仕事もやってみたくなり、結婚とほぼ同時にブライダル業界に飛び込みます。しかし、土日や夜が忙しい業界のため、夫と生活時間がずれることに悩み、退職。専業主婦となり、第1子を出産します。夫は「家庭は自分が支える」という気質だったため、働かなければというプレッシャーはありませんでした。しかし、元々はキャリア志向だったため、専業主婦の生活を続けているうちに、徐々に働きたい気持ちがわき起こった恵さん。転職エージェントに登録して就職活動を開始しました。ところが、いったん主婦になり1年半のブランクができてしまった恵さんにとって、大企業で働いていた経歴は全く役に立たなくなっていました

 「正社員での就職を目指していたのですが、不採用の連続。エージェントからも『あなたに紹介できる仕事はない』と言われてしまいました。主婦から正社員として再就職する難しさを実感しました」

 そこでいずれは正社員になることを目指して、素材メーカーに紹介予定派遣で就職。「でもそこでの仕事はやりたかったこととは違っていました。派遣社員として働きながらも、やりたい仕事に正社員として就く道を探していました」と恵さん。そして転職活動を続けたのちに、外資系食品メーカーに正社員として採用されました。量販店の本部に商談に行く営業職として、1年間働き、第2子を妊娠。無事出産して、現在は育休中です。「外資系のせいか、今の勤務先はダイバーシティがとても進んでいます。国籍はもちろんですが、プロパー組と私のような中途採用組が混在していても区別のようなものはなく、働きやすいですね。ワーママや女性管理職も多いですよ」と恵さん。

<次ページからの内容>
・夫の支えでじっくり就職活動。しかし夫の本音は?
・夫は新卒でゼネコンに。設計がやりたくて1年で転職
・夫婦のつぶやき
・夫はUターン転職を見据えて、建築とは別の業界へ
・家事・育児のタスクを表にして、夫婦の分担を確認し合った
・昔気質の夫に妻収入の重みを感じさせたい
・期待され過ぎて入社するより、入ってから期待以上の結果を出したい
・妻から夫へのメッセージ&夫から妻へのメッセージ
・参考にしたい! 夫婦のスタイル