女性の活躍促進やダイバーシティが叫ばれ、子どもがいる世代でも共働きは多数派になりつつあります。とはいえ、共働きで子育てや家事を両立させるのは大変。それでも共働きを続ける背景には、どのようなことがあるのでしょうか。例えば、夫婦で働いていれば夫が妻のどちらかが家計を守り、もう片方が転職や起業で夢を追いかけることもできますし、ときには役割をスイッチすることもできます。不況になり、万一どちらかの収入がダウンしても2本柱なら安心感があります。そこで、この特集では、ダイバーシティ時代にどんな働き方ができるのか、共働き夫婦の実態を調査。実例や専門家の解説を紹介します。

 特集第1回は、数度の転職を経て夢を見つけて起業に挑戦した妻と、それをさりげなく支える夫の実例です

【ダイバーシティ時代の幸せ夫婦☆キャリア計画 特集】
第1回 実例に学ぶ!起業妻&守りのサラリーマン夫の連携 ←今回はココ
第2回 両立求める妻&攻めの夫が同時転職 さらに転居も
第3回 ワーママの転職 成功する人は条件絞り込みが上手
第4回 夫の転職 共働きは最強のリスクヘッジ
第5回 フリーランス・独立で働き方・お金はどう変わる?
第6回 フルタイム・時短・在宅の最新実態をアンケート!

家族のプロフィール
今西由加さん: 新卒でソニー・ミュージックエンタテインメントに入社。洋楽セクションでディレクター職を務め、27歳で結婚。30歳でクラランスに転職。33歳で長男を出産し、時短勤務に。36歳でロッテドットコムジャパンに、39歳でトリンプ・インターナショナル・ジャパンに転職。42歳で独立起業。
小池章文さん: 新卒で国内の銀行に就職し、海外勤務を経て現在まで同じ銀行に勤務。
長男: 公立小5年生。習い事はプログラミングスクールと探求型スクール。今年度から中学受験のための塾にも週3日のペースで通っている。

日本の子どもにもっと世界を見てほしくて起業

 大手レコード会社から外資系化粧品会社、外資系ECサイト運営会社、外資系下着メーカーと異なる4つの業界でキャリアを積んできた今西由加さんは、新卒で就職した銀行一筋で働く夫、小学校5年生の長男との3人暮らし。英語が堪能で、英語力と持ち前のバイタリティと社交性を生かした仕事を経験して、2017年春に外国人留学生をシッター兼家庭教師として一般家庭に紹介するサービスなどを行う会社、キュリオジャパンを立ち上げました。外資系企業でキャリアを積んできた友人との共同経営です。

中小企業振興公社をフル活用

 「途上国の子どもたちを支援するボランティアを8年前から続けている中で、子どもの教育こそが世界を変えると実感しました。日本の若い子にはもっと世界を見てほしい。内向きになっている日本の子どもたちに何かしらインパクトを与える事業をしたいと思っていました」と語る由加さん。

 当初は影響を受けたアメリカの起業家に連絡を取り、提携を考えていましたが、コストや準備期間などを検討するうちに、別の内容で起業したほうがよいのではないかと考えが変わり、現在の起業内容に落ち着いたそう。前職と並行して、起業準備を進め、中小企業振興公社に相談に行ったり、評価委員会にビジネス内容を審査してもらいました。中小企業振興公社から事業化の支援を受けることで、起業内容を客観的に見ることができたそう。その後独立して、ビジネスが本格的に始動。もともとはママ友だったビジネスパートナーとの二人三脚で経営し、パートナーが戦略・数字の部分や資料作成を担当。由加さんは外に出て営業や広報という役割分担がされています。

夫は新卒以来、転職なし

 一方で夫の小池章文さんは新卒で就職し、転職経験はなし。国内の銀行ですが章文さんも元々海外志向があり、入行当初ODA関連の会社に2年間出向し、エジプトやガーナなどでの勤務経験もあります。結婚した当時は大手レコード会社の洋楽セクション勤務だった由加さんも海外出張が多かったため、夫婦で出張先の海外で落ち合うこともあったとか。章文さんはその後、行内の事情で国内勤務に戻り、長らく本店に勤務しています。

<次ページからの内容>
・会社員時代の平日はほぼ妻のワンオペ。病気時も妻が休む
・転職や起業時が身軽にできるのが2本柱の強み
・夫婦のつぶやき
・家事は夫婦できっちり分担。夫は教育にも一家言あり
・妻から夫へのメッセージ
・夫から妻へのメッセージ
・リスクに備え2本柱が基本の考え方。資産運用は夫が担当
・参考にしたい! 夫婦のスタイル