会社員時代の平日はほぼ妻のワンオペ。病気時も妻が休む

 夫婦の間には現在小学5年生の息子さんが1人。由加さんが2社目、化粧品会社のクラランスに在籍している32歳のときに授かりました。「育休明けは時短勤務でした。日本の16時ごろにフランスの本社が始業するので、1時間本社とミーティングをして帰るというスタイル。でも会社を離れた後も仕事の連絡は入るし、結局時短勤務になっていないことを社長に相談すると、17時退社のまま時短勤務扱いではなくなりました」

 クラランスでのフルタイム勤務などペースを緩めずに着実にキャリアを積んできた由加さんですが、息子さんが0〜1歳のときは発熱などの対応で大変だったそう。「夫は朝が早くて忙しく、ほぼワンオペ育児でした。住んでいた地域には病児保育室もなかったので、子どもが病気のときは、私が休みました。商品の発表会などどうしても自分が出席しないわけにいかないときは、実家の母に新幹線で来てもらっていました

転職や起業が身軽にできるのが2本柱の強み

 さらにロッテドットコムジャパンに転職し、新規事業立ち上げの多忙なときに長男はまだ3歳。「ベンチャーだけに一人の仕事が周りに及ぼす影響が大きく、仕事はすごく刺激的でやりがいがありました。息子は0〜1歳のときほど病気をしなくなり、母親の仕事の事情なども話せば分かるようになっていました。それでも保育園のお迎えに間に合うように18時には退社していました。転職時の社長面接の時に、前もって伝えていたので会社には理解してもらっていました。ECの会社だったのでパソコン1台あればどこでも仕事ができることもあり、必ずしも会社にいる必要がなかったのは幸いでした」

 由加さんはクラランス、ロッテドットコムジャパンの後はトリンプ・インターナショナル・ジャパンといずれも外資系企業に転職。起業も含めてこれまで幾度も転職してきましたが、夫の章文さんに相談することはほとんどなかったそう。「起業したときも含めて、夫にはすべて事後報告(笑)。収入の変化についても特に何か言われたことはありません。身軽に転職や起業ができたのは、わが家が2本柱で、私のほうに何かあってもまだもう一人いると思っていられるからかもしれません」。仕事に関してはお互いに信頼し、任せ合っている一方で、家事や育児などに関しては、お互いに不満があれば溜めずに話し合うことを心掛けているそうです。

夫婦のつぶやき
由加さん
わが家は1本よりは2本の柱で家庭を支えるのが基本の考え方。柱が2本あれば、もし、片方がやりたいことをやって、柱の1本が細くなるようなことがあっても、もう1本ががっしりとしていれば、家庭は支えられます。最近夫は『君がもっと稼げるようになったら、今度は自分は旅人になるよ』なんて言っています。『いえいえ、あなたもまだ稼いでね』と思いますが(笑)」

章文さん
夫婦それぞれが、仕事・家庭・自分という3点をうまく配分し、お互いに尊重することでやってこられたと思います。共働きの夫婦は戦友で主従関係などありません。臨機応変に、切り込み役になったり、バックアップ役になったりして、ふたりで戦局やピンチを打開していくものだと思っています」