夫の不在やなんらかの事情によって、ママ一人に育児、家事の負担がかかってしまう“ワンオペ”。悩んでいる家庭は非常に多いのではないでしょうか。

ロジカル・ペアレンティング代表の林田香織さんは、自身もワンオペに苦しんだ過去を持ち、日本とアメリカの両方で子育てを経験しました。ワンオペはどのように乗り越えればいいのか、自身の経験を踏まえながら、家族社会学の見地から“講義”していただきます。“りんだ先生”と一緒に学んでいきましょう。

ワンオペから“マルオペ”へ

 日経DUAL読者の皆さん、初めまして。“りんだ(「林田」の音読み)先生”ことロジカル・ペアレンティングLLP代表の林田香織です。セミナー講師として、大企業向けの家庭両立支援セミナーやイクボスセミナー、小さな町の公民館のパパママ講座まで、日本全国で年間3000人以上のパパ&ママ、プレパパ&プレママに子育てと仕事の両立についてお話ししています。

 わが家は私と夫、高校生(16歳)、中学生(14歳)、小学生(9歳)の男三兄弟の共働き5人家族。子どもたちはサッカー、バスケ、ギターにライブ、朝練、午後練と、まあ一応勉強。私と夫は、仕事と育児、地域活動やNPO活動などをしながら、山盛りのご飯や洗濯物と格闘する日々。家族みんながそれぞれ大忙しで、スピード感と青春臭に溢れた、部活動のような毎日を過ごしています。

 さて、今回スタートする連載のテーマは“ワンオペからの脱却”です。ママによる「ワンオペレーション育児」は、DUALでもたびたび取り上げており、社会問題化しています。ワンオペからの脱却として私が提案したいこと、それが「チームわが家」です。具体的には、様々なリソースと連携したマルチオペレーション型の「マルオペ育児」へシフトしよう! ということです。

 夫婦のどちらかが我慢したり、夫婦二人で押し付けあったりするのではなく、手を抜いたり、やり方を工夫したり、家電やテクノロジーを導入したり、民間サービスや行政のサービスを利用したり、じいじ、ばあばやパパ友&ママ友に頼ったりしながら、パパもママも、そして子どもたちも協力して「チーム」でいこう! というのがコンセプト。

 「まあ、言いたいことは分からなくもない」「でも、頼るってハードル高い」「結局自分でやったほうが早い」「他人を家に入れるのはちょっと…」「アウトソーシングするとすごくお金がかかるんじゃない?」「子どもは大丈夫?」「なんとなく罪悪感がある…」

 両立セミナーでマルオペ育児の話をすると、このような不安の声が受講者の中から聞かれます。その一方で、「うちは既にやっているよ!」という声が思いのほか多いのも事実。「既に実践している人たちのアイデアを、もっと多くの人と共有できたら」と考えたのが、今回連載を始めるきっかけでした。

 初回は「なぜチームわが家なのか」を私自身の紆余曲折の経験や社会的背景と共に紹介します。そして、次回以降は様々なリソースの専門家との対談やマルオペ育児を実践しているパパ&ママとの座談会形式で、「チームわが家」構築のヒントやアイデアをDUAL読者の皆さんにお伝えしたいと思います。