トラブルを抱えた子どもは夜中に急に不安になることがある
こんにちは。小児科医の成田奈緒子です。
カウンセリングなどでたくさんのご家族と接していると、どうしてこんなふうになってしまうのだろうと、頭の中が疑問符でいっぱいになるようなママの話を耳にします。
例えば、子どもから”学校でいじめられた”と聞いたら、誰だって胸が張り裂けそうになるのはわかります。けれども、怒りを抑えられずすぐにカッとなり、いじめた相手のお宅に怒鳴り込んだり、担任の先生を飛び越えて校長先生に直談判し、それでも飽き足らなくて教育委員会に乗り込んでしまう。
もう子どもではないのですから、もっといろいろな思考を経てから行動を決めても遅くはないのに、あとさきを考えずに怒りと攻撃性のおもむくまま……。本当に残念なことです。
でも、どうしてこんなことになってしまうのでしょう。
前回、お話したように大人の睡眠時間は7時間を目標に夜はできるだけ23時までに寝付き、朝は6時までに起きるリズムが理想です。ところが、そういうママはたいていの場合、この条件を満たしていません。家庭や子どもに何らかのトラブルが起こっているママに「お母さん、あなたは寝ている?」と聞くと、皆さん「寝ていません」と答えます。
子どもが学校でいじめにあっていたら、その子は家に帰ってきても思い出したようにさめざめと泣いたり、夜になると不安になって、学校に行きたくないと言い出すようなことがあるかもしれません。
前出のママのようにいたずらに騒ぐと子どもは余計、不安になり、ぐずぐずしたり、攻撃性を出して暴れたりすることも出てきます。それも夜中に、です。子どものことが心配なのはもちろん、翌日も仕事があるママ自身の体も大変になってしまいますよね。でも、子どもにそんな異変が見られたら当然、心配で寝られません。
さらに夜遅く帰ってきたパパに話を聞いてもらおうと思っても、「今日は疲れているんだ。週末にしてくれ」。
仕事で疲れているのはママだって同じです。一緒に考えてもらいたいのは今なのに、そんなふうに言われたほうは悶々とします。朝を待ったとしても、出勤前の慌ただしい時間の中で大事な話をする余裕はありません。パパとゆっくり話せるのは明日の晩? それとも週末?
悶々とすると、寝つけなくなります。寝つけても、眠れなくて目が覚めてしまう中途覚醒という睡眠障害の症状が起こります。なので、皆さんおしなべて寝ていません。