子育て世代に起こりやすいトラブルの実例とその対処法を、弁護士法人・響の徳原聖雨弁護士に伺う連載です。

 第13回は、養子縁組・親子関係について。養子縁組なんて関係ない、という人も多いと思いますが、相続の際の節税対策につながるため検討されることもあります。また、最近提出する人が増えているという「姻族関係終了届」とは何でしょうか。知っておきたい養子縁組、相続などについて、弁護士さんに聞きました。

 CASE1 養子縁組で親子関係はどうなるのか

Q. 資産家の義理の父親に、12歳の息子を養子縁組させようと思うのですが、そうすると自分との間の親子関係はなくなりますか。私の財産は息子が相続できなくなってしまうのでしょうか。

A. 一般的になじみが薄いと思いますが、まず話の前提として、節税のための養子縁組はOKなんです。

 相続税対策のためにあえて養子縁組をされる方も多いです。例えば、自分の義理の父親に自分の子どもを養子縁組させる、といった場合です。こうすることで、相続人が増えることになるので、相続税の基礎控除額が増える、生命保険金の非課税限度額が増える、などの相続税対策になるのです。

 ただ、孫を養子とすることで、他の相続人とのトラブルになることも十分考えられるところです。ちなみに、ご質問の例のように義父との間に養子縁組(特別養子縁組は除く)をしたとしても、自分との親子関係はそのままです。ということなので、義父との関係はもちろん、自分との関係でも、子どもには相続権があります。

 では、養子縁組をたくさんすることで相続税の基礎控除額を増やし、相続税をゼロにすることができるのか。答えは、ノー、です。まず、相続税の基礎控除額は、3000万円+600万円×法定相続人の数、で計算されます(この計算式は、覚えておくと大まかな額を計算するうえでは便利かもしれません)。

 税法上、相続税の控除額を計算するうえで必要なこの「法定相続人の数」に用いることのできる養子の数に以下の通り制限をつけているのです。制限を設けることで、控除額を好きなだけ増やすことを防止しています。

 ①被相続人(亡くなった人)に実子がいる場合
 「法定相続人の数」に含められる養子の数は1人まで

 ②被相続人に実子がいない場合
 「法定相続人の数」に含められる養子の数は2人まで