「多読」は年齢にかかわらず大人にも効く
英語は大人になってから、社会人になってからちゃんと学習し直す人が多いですよね。その場合、簡単なレベルから読み進めていき習熟する「多読」という学習法があり、僕はそれが理想的だと思っています。学習は年齢にかかわらず、簡単なレベルから始めるのが王道です。
今回は、基本的に英語を母語とする(またはそれに近い)子どもを想定して、その年齢に適した本を選びましたが、日本で生まれ育ち、日常的に英語を使う習慣がない子どもの場合、英語を読むのは相当ハードルが高いこと。ですから年齢に応じた本を読むと考えるのではなく、その子に適した段階からスタートしていただくと良いと思います。
親御さんでもし英語にコンプレックスがある方がいらしたら、レベルの無理は禁物だと思います。例えば、今回ご紹介する中の幼児向け(年中、年長レベル)などから見てみるのがいいのではないでしょうか。
幼児期:ひらがなを覚えるように、まずはPhonicsに挑戦
川合亮平さん
そもそも英語は日本語よりも読みが難しいんですね。日本語は50音を覚えれば読めるようになりますが、英語は文字が必ずしも音を表さない。組み合わせによって音も変わってくるので、幼児から読めるようになるためにはPhonicsから始める必要があるんですね。
もちろん大人はある程度読めると思いますし、中学生くらいから始めれば理解できるようになると思いますが、幼児はそうはいきません。
とはいえPhonicsは簡単には習得できません。ある程度英語がちゃんとできる人でないと、教えるのも難しいので。ご家庭でチャレンジするなら、音声が一緒になったテキストなどを利用するといいでしょう。基本的にはアルファベットを見たときに、その音が出せるかどうか。それが頭に入ってくると、つづりを見たときに、フォニックスを重ねていくことで発音できるようになる。Wordsという単語を丸のまま知らなくても、Phonicsを知っていれば大体発音できる、単語が読めるようになるわけです。
英語絵本を楽しむ、という主旨からは外れますが、もしも余裕があれば、読む練習と同時に、書く練習もすると効果的です。リーディングとライティングの能力はつながっているので、相乗効果が出ます。書く練習には、英語圏の子どもが英語の書く練習をするときに使うテキストが役に立つと思います。例えばKUMONの『My Book of Writing』シリーズや、『Jolly Phonics Workbook』シリーズなど。
ただ、子どものころPhonicsを知らなくても、中学から普通に学校で単語ベースで英語に触れたとしても(僕のように)普通に英語は読めるようになりますので、Phonicsは一つの方法と思ってく ださい。イヤイヤやらせる必要はないと思います。
英語絵本の良いところは、種類が多く、良い本が多いところ。僕の個人的な意見としては、日本で生活している普通の日本人の子どもたちにとっては、英語の絵本は学習素材というよりは、ちょっとスペシャルな読み聞かせ素材、という位置づけが自然だと思います。
次ページから読める内容
- ボキャブラリーを増やしながら短い物語を読む
- 翻訳されている本の原書に当たる
- 鮮やかなフレーズ集や古典で言葉を覚える
- 幼児期に楽しいと思った記憶は将来の英語学習の原動力に
- 低学年:シリーズもので次々読めるようにする
- 文化を身に付ける本は、英語を学ぶ動機に
- Phonicsの延長で多読スタート
- 中学年は自分好みの本を選び始める時期
- 高学年、作品数の多い有名作家にはまればどんどん読めるように
- 自分の中を通ったワード数に比例して英語力は上がる