専門家におすすめの本の紹介とともに解説してもらう特集「頭が良くなる本選び DUAL決定版100冊!」。小学生の本選びは子どもの読解力によって選び方が変わってきますが、ではどんな本をどのように読めばいいのでしょうか。年齢ごとにどんな本が適しているのでしょうか。

 子どものうちから洋書に親しんで、英語が得意になってほしい。絵本として楽しみながら、英語力が身に付けば…。「絵本で英語を学ぶ術」があればいいのに…。親としてはついそんなことを考えがちですが、はたして実際にはどうなのでしょうか。英語が身に付きやすくなる読書方法はあるのでしょうか。

 そこで今回は、2016年の暮れに発売されすぐにAmazonで売り切れになるなど話題になった書籍『「なんでやねん」を英語で言えますか?』の著者、川合亮平さんにインタビューし、英語絵本の選び方を聞いてみました。川合さんは、企業・団体向け「英語学習法セミナー」も積極的に開催し、また、東京とロンドンを行き来しながら、ライター、通訳・翻訳者など、フリーランスで活躍する3児のパパです。

 おすすめの英語絵本15選と併せてお届けします。

【頭が良くなる本選び DUAL決定版100冊!】
第1回 平田オリザ 世界への興味は読書から始まった
第2回 子どもの「絵本読んで」は“こっち向いて”のサイン
第3回 絵本心理学者、絵本ナビおすすめ「0~2歳向け絵本」
第4回 小学生になるまでに読み聞かせたい絵本・児童書
第5回 読書苦手な小学生は“見る”“わかる”の間にいる
第6回 読書が苦手なら中学生でも小1までさかのぼる
第7回 低学年、中学年、高学年のうちに読みたい30冊
第8回 英語絵本15選! 読めば読むほど読解力が上がる ←今回はココ
第9回 DUAL編集部 読み聞かせテクニック&おすすめ本

「多読」は年齢にかかわらず大人にも効く

 英語は大人になってから、社会人になってからちゃんと学習し直す人が多いですよね。その場合、簡単なレベルから読み進めていき習熟する「多読」という学習法があり、僕はそれが理想的だと思っています。学習は年齢にかかわらず、簡単なレベルから始めるのが王道です。

 今回は、基本的に英語を母語とする(またはそれに近い)子どもを想定して、その年齢に適した本を選びましたが、日本で生まれ育ち、日常的に英語を使う習慣がない子どもの場合、英語を読むのは相当ハードルが高いこと。ですから年齢に応じた本を読むと考えるのではなく、その子に適した段階からスタートしていただくと良いと思います。

 親御さんでもし英語にコンプレックスがある方がいらしたら、レベルの無理は禁物だと思います。例えば、今回ご紹介する中の幼児向け(年中、年長レベル)などから見てみるのがいいのではないでしょうか。

 

幼児期:ひらがなを覚えるように、まずはPhonicsに挑戦

川合亮平さん
川合亮平さん

 そもそも英語は日本語よりも読みが難しいんですね。日本語は50音を覚えれば読めるようになりますが、英語は文字が必ずしも音を表さない。組み合わせによって音も変わってくるので、幼児から読めるようになるためにはPhonicsから始める必要があるんですね。

 もちろん大人はある程度読めると思いますし、中学生くらいから始めれば理解できるようになると思いますが、幼児はそうはいきません。

 とはいえPhonicsは簡単には習得できません。ある程度英語がちゃんとできる人でないと、教えるのも難しいので。ご家庭でチャレンジするなら、音声が一緒になったテキストなどを利用するといいでしょう。基本的にはアルファベットを見たときに、その音が出せるかどうか。それが頭に入ってくると、つづりを見たときに、フォニックスを重ねていくことで発音できるようになる。Wordsという単語を丸のまま知らなくても、Phonicsを知っていれば大体発音できる、単語が読めるようになるわけです。

 英語絵本を楽しむ、という主旨からは外れますが、もしも余裕があれば、読む練習と同時に、書く練習もすると効果的です。リーディングとライティングの能力はつながっているので、相乗効果が出ます。書く練習には、英語圏の子どもが英語の書く練習をするときに使うテキストが役に立つと思います。例えばKUMONの『My Book of Writing』シリーズや、『Jolly Phonics Workbook』シリーズなど。

 ただ、子どものころPhonicsを知らなくても、中学から普通に学校で単語ベースで英語に触れたとしても(僕のように)普通に英語は読めるようになりますので、Phonicsは一つの方法と思ってく ださい。イヤイヤやらせる必要はないと思います。

 英語絵本の良いところは、種類が多く、良い本が多いところ。僕の個人的な意見としては、日本で生活している普通の日本人の子どもたちにとっては、英語の絵本は学習素材というよりは、ちょっとスペシャルな読み聞かせ素材、という位置づけが自然だと思います。

<次ページからの内容>
・幼児、低学年、中学年・高学年向けおすすめ英語絵本・児童書15選公開!
・幼児期はボキャブラリーを増やしながら短い物語を読む
・翻訳されている本の原書に当たる
・低学年はシリーズもので次々読めるようにする
・道徳的なメッセージのある本にも挑戦
・文化を身に付ける本は、英語を学ぶ動機に
・中学年は自分好みの本を選び始める時期
・高学年、作品数の多い有名作家にはまればどんどん読めるように
・自分の中を通ったワード数に比例して英語力は上がる