4歳になるひとり息子を、芥川賞作家夫婦で育てながら超多忙な日々を送る川上未映子さん。仕事、お金、子育て、美容。健康、暮らし、人間関係。しあわせやよろこびだけでなく、おそろしいこと不安なこと、そして思わず、びん詰めならぬゴン詰めたくなる世間のあれこれを綴ります。人気コラム『川上未映子のびんづめ日記』シーズン2、全16回でお届けする第14回目のテーマは、「歯科矯正」です。

 ふつうに生活をしていても、ちょっとした変化というものは常にそばにあって、望んでも望まなくても色々なことが変わってゆくのだなあ……とフレシネを飲みながら、相も変わらず抽象的なことを考えた。

 「まさかこの年齢で、そんなことになるとは思ってなかったわ」というようなことは、みなさん多かれ少なかれあると思います。つい先日、わたしの身にもそれが起きた。40歳にして、なんと歯列矯正を始めてしまったんである。

今後のことを考えると、ここでリセットしておこうかと

 最初はホワイトニングとか噛み合わせとか、いわゆるメンテナンス&審美的なことでクリニックを訪れたのだけれど、詳細に調べてもらうとじつに色々なことがわかってしまった。まず、無意識での噛みしめがものすごいらしく、奥歯はすり減り、おまけに歯茎にめりこんで、数ミリしか出ていない状態になっていた。奥歯がそうなると次第に前歯の噛み合わせも変わってくる。もちろん、口元の印象も。そうなのだ、最近、前歯と横の歯のあいだに隙間ができてたりして「なぜ……」とすごく気になっていたのだけれど、それが原因だったのだ。

 わたしの場合、このまま放置すると、数ミリしか高さのない奥歯はやがてなくなり、顎関節症や頭痛などといった不具合が出るのも時間の問題。おまけに中心が5ミリくらい左にずれていて、偏りがある。口を開けると左右もあきらかに非対称……ふつうに生きるとしてあと数十年、毎日歯を使うことを思うと40歳でリセットしておくのがよいのではないか、ということで、思いきって歯列矯正をすることに。

5月で5歳になった息子。幼稚園から、ケーキもってきてくれたらランチのときにお祝いできますよ、と言ってもらえたのでひいひい言いながら届けることに。そしたらこのケーキ、子どもたちのなかでオニくんのママが作った!ママすごい!とブチあがったらしいけど、こんなもん作れるかー!クッキーも焼けんわ!
5月で5歳になった息子。幼稚園から、ケーキもってきてくれたらランチのときにお祝いできますよ、と言ってもらえたのでひいひい言いながら届けることに。そしたらこのケーキ、子どもたちのなかでオニくんのママが作った!ママすごい!とブチあがったらしいけど、こんなもん作れるかー!クッキーも焼けんわ!