危険な場所にある「登らせる形」は撤去しよう

 子どもが登りたくなる気持ちを刺激する空間作りの例としては「ボルダリングウォール」があります。手でつかんだり、足をかける“ホールド”を組み替えれば難易度が変えられるので、子どもの挑戦心を育てるのに最適です。

 また、収納を兼ねた頑丈な柵を天井と壁面にしっかりと取付けると、ジャングルジムのように子どもがよじ登って遊べます。

ボルダリングウォール。子どもの成長に合わせて難易度が変えられるので、長期間遊べる(積水ハウス「姫路南展示場」)
ボルダリングウォール。子どもの成長に合わせて難易度が変えられるので、長期間遊べる(積水ハウス「姫路南展示場」)

足がかりのある柵はジャングルジム感覚で登ったり、ぶら下がったり、くぐったりして遊べる(積水ハウス「関東住まいの夢工場くらしのアイディア館小林さんち」)
足がかりのある柵はジャングルジム感覚で登ったり、ぶら下がったり、くぐったりして遊べる(積水ハウス「関東住まいの夢工場くらしのアイディア館小林さんち」)

 「夢中で上へと進むうちに、思いがけず高いところに来ていたことに気づき、急に怖くなって体がこわばってしまうこともあります。子どもは登るのは得意ですが、降りるのは苦手です。そこに恐怖心が加わるととても危険なことになります」(積水ハウス総合住宅研究所の河崎由美子課長)

 「こういった場面はよくあります。大人は『子どもが勝手に登ってしまった』と思い込みがちですが、実はその場の環境が子どもの『登りたい気持ち』を引き起こしているのです。ですから、子どもが不用意に登らないような対策が必要です。例えば、乳幼児が登れないように一段目の足掛かりが高めになっている遊具もあります。また、ベランダの柵やフェンスなどでは、体の重心位置がてすりの高さを越えると、バランスが変わって体が回転してしまいます。柵やフェンスの近くに台となるもの(エアコンの室外機や踏み台など)は置かないことが大切です。階段周りなどの柵は桟(さん)を水平なものでなく、縦方向にすれば足がかかりにくく落下予防になります」(河崎さん)

キッズデザイン協議会 
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(文/福本千秋)