専門家におすすめの本の紹介とともに解説してもらう特集「頭が良くなる本選び DUAL決定版100冊!」。小学生の本選びは子どもの読解力によって選び方が変わってきますが、ではどんな本をどのように読めばいいのでしょうか。年齢ごとにどんな本が適しているのでしょうか。

 前回に続き、フィロソフィア国語教室(東京・杉並区)の代表、坂爪彬さんと、小学生から高校生までを対象にした個別指導の国語教室、工藤順一 国語専科教室(東京・渋谷区/以下、国語専科教室)の講師の皆さんに、小学校低学年、中学年、高学年向けの本を選書していただきました。

 今回は小学校のうちに読んでおきたい「DUAL特選児童書」の中でも、中学年、高学年向けの本を中心に、第5回で紹介した低学年向け選書リストを再度、ご紹介します。

【頭が良くなる本選び DUAL決定版100冊!】
第1回 平田オリザ 世界への興味は読書から始まった
第2回 子どもの「絵本読んで」は“こっち向いて”のサイン
第3回 絵本心理学者、絵本ナビおすすめ「0~2歳向け絵本」
第4回 小学生になるまでに読み聞かせたい絵本・児童書
第5回 読書苦手な小学生は“見る”“わかる”の間にいる
第6回 読書が苦手なら中学生でも小1までさかのぼる
第7回 低学年、中学年、高学年のうちに読みたい30冊 ←今回はココ
第8回 英語絵本15選! 読めば読むほど読解力が上がる
第9回 DUAL編集部 読み聞かせテクニック&おすすめ本

【低学年】童話シリーズで読むこと慣れる

 フィロソフィア国語教室の坂爪彬さんによれば、「この年齢になったらこの程度の本を読まなければということを周りが決めつけない」のが大切なのだが、とはいえ低学年、中学年、高学年で読んでおくといい本はもちろんある。

 第5回で紹介したが、坂爪さんは特に“見る”段階から進んでいない子の場合、『世界名作ファンタジー』『日本・世界名作アニメ絵本』シリーズなど、絵の多い本であれば読み進めやすいと指摘する。

 「こうした絵の多い本でお話を読むことに慣れていってから、文字の多い物語に挑戦するといいでしょう。低学年なら、『吉四六さん(きっちょむさん)』や『彦一さん』(寺村 輝夫のとんち話シリーズ)などのとんち話を好きになる子どもは多いですね」(坂爪さん)

 国語専科教室の講師の皆さんが選んだ低学年向けのおすすめ児童書も振り返っておこう。

国語専科教室推薦

 ● あるきだした小さな木(文/ボルクマン 絵/シルビー・セリグ 訳/はなわ かんじ 偕成社)
 ● ポリーとはらぺこオオカミ(文/キャサリン・ストー 絵/マージョリー=アン・ワッツ 訳/掛川恭子 岩波書店)
 ● ねえ、どれがいい?(文・絵/ ジョン・バーニンガム 訳/松川真弓 評論社)
 ● ネコとクラリネットふき(文・絵/岡田淳 クレヨンハウス)
 ● ぼくはアフリカにすむキリンといいます(文/岩佐めぐみ 偕成社)
 ● としょかんねずみ(文/ダニエル・カーク 訳/わたなべ てつた 瑞雲舎)
 ● グッバイ!グランパ(文/服部千春 岩崎書店※現在取り扱い中止)

 では、中学年、高学年はどんな本を読んだらいいか。坂爪さん、国語専科教室の講師の皆さんに厳選していただいたおすすめの本を紹介していこう。

(写真/鈴木愛子)
(写真/鈴木愛子)

<次ページからの内容>
・中学年、高学年向けおすすめ児童書20選公開!
・中学年は「なぜ、どうして」「謎」シリーズなど興味を広げる本選び
・愛や命、生き方を考える本、ファンタジーの世界に誘う本
・高学年は歴史の話、火の鳥文庫などで世界に目を向ける
・壮大なファンタジーや、少し年上の世界にも挑戦する