感情的になってしまったら、子どもの両手を握ってみて

 また、何かしら状況が変わって急な予定変更があるときなどは、子どもへの伝え方が重要になります。

 例えば、子どもがバスに乗ることを楽しみにしていたのに、雨でバスが遅れてタクシーに乗らざるを得なくなってしまったとき。子どもには「バス以外の乗り物に乗る」という心の準備がなく、なかなか気持ちを切り替えることができなかったりします。「バスに乗りたかったのに」という気持ちが収まらず、「ワーッ」とかんしゃくが爆発してしまうこともあるでしょう。

 そんなときには、「バス来ないね、雨が降ってきちゃったね」「このまま待ってたら風邪引いちゃうね」「タクシーが来たら、乗せてもらおうか?」などと、プロセスの相談を丁寧にしてあげると納得できたりします。

 とはいえ、親も人間。完璧は人はいませんから、感情的に怒りたくなることもあるでしょう。そんなときには、どうぞお子さんの体のどこかに触れながらにしてくださいね。怒るときに、しゃがんで目の高さを合わせて両手を握ったりしていれば、子どもの体や手が本当に小さいことを感じ、「こんなにちっちゃな子に、私はどうしてこんなに怒っているんだろう」と、怒りのボルテージを下げることができます。

 親だって、悲しくなったら一緒に泣いてもいいと思います。時には感情を思い切り出し、心を通わせながら信頼関係を築いていくのが親子です。子どもの中に「パパやママに信じてもらってるのに、裏切っちゃいけないな」「自分でちゃんとしなきゃな」「こんなことしたらパパやママが悲しむな」という気持ちを育てていくことが大事です。

 そして、しつけをするときには、本人の中に「これをすると気持ちいい」という感覚が芽生えるような言葉がけを意識しましょう。

 この時期に、道路に飛び出すなど危険なこと以外は、「ダメ!」というしつけをやってもあまり意味がありません。例えば、玄関で靴をそろえるとき、「ダメよ! ちゃんとそろえなさい!」と叱るよりは、「きれいにそろえられたら、次に履くとき履きやすいよね」「きれいで気持ちのいいお玄関だね」と言葉をかけましょう。こうした「気持ち良さ」を本人の心に刻んでいくほうが、よりスムーズにしつけが身に付きます。

 感情のままに叱ることを続けていくと、親もイライラがたまってしまいますし、子どももだんだん「怒られなければいい」という気持ちになってしまいます。何て言えば伝わりやすいかな、どうすれば気持ち良く行動に移していけるかな、ということを考えながらしつけに取り組んでいけるといいですね。