義母との同居 「生きたお金の使い方をしなさい」という父の教えで気付いたこと
―― 引っ越しを度々されているということですが、愛知県内で?
粟生 そうですね。私は一人娘ということもあって、実家の三重には必ず月一回は帰りたいから、どんなに出張が多くても名古屋が一番便利なんです。公立校の質が良く、子どもの教育的にも名古屋はいいところだと思っています。
―― 遠距離婚をしている時期もあったのですよね。
粟生 はい。夫が東京に勤務していて、単身赴任をしている時期があり、そのときは夫の実家に私と息子だけで居候させてもらっていたんです。出産後しばらくは、まず夫の実家のそばに引っ越していました。そのころから、義理の母にすごく協力してもらっています。
―― ハイキャリアママが、夫不在の中で、義母と同居というのは、結構気を使うシチュエーションなのではないかと思います。
粟生 最初のころは不安もありました。まだ「奥さんは専業主婦」という考えが残っていたこともあって、義理の両親にも戸惑いがあったと思います。ただ、夫の実家のそばに住むことになったとき、最初に私の両親が義理の両親のところへ挨拶に行ってくれたんです。「うちの娘のわがままで働かせてもらいます。お世話になります」と。
―― ご両親の深い愛を感じます。
粟生 本当にありがたかったです。同居して協力を得るにあたり、私たちもお義母さんに心ばかりの謝礼をお支払いしていたんですが、父に「少なすぎる。家族といえども負担もかけるんだから、きちんとしなさい。生きたお金の使い方をしなさい」と言われ、ハッとしましたね。
―― お父様は、事業者としての大先輩ですね。
粟生 お義母さんも、パートやお稽古で忙しいところ、息子の面倒を見てくださったし、きちんと謝礼をお支払いしていたことは、お互いにとってよかったと思っています。息子はおばあちゃん大好きな子に育ったし、私が忙しいときは駅まで迎えに来てくれたり。本当にお世話になりました。
ママ不在の寂しさは、ITツールを駆使して乗り越える
―― 現在は名古屋駅周辺にご家族3人でお住まいなんですね。今度は粟生さんが、様々な都市を飛び回る生活になった。そのことについて、息子さんはどんなふうに感じていらっしゃいますか?
粟生 「ママがいなくて寂しい」というのは時々言っています。一緒にいるときは美容院も3人で行ったり、ファミリーテニススクールに通ったりと、できるだけ家族みんなで共通のことをするようにしています。あとはITの発達でコミュニケーションツールが増えたので、助かっています。
―― 例えばどんなツールを?
粟生 まず夫とナニーさんと私でショートメールのグループを使って情報共有。そして長期出張の際は、FaceTimeやラインチャットなどを使って、息子と連絡を取り合っています。いつの間にか息子がラインで音声を録音して送ってくれるようになっていてびっくりしました(笑)。
―― すごいですね。さすがITのプロフェッショナル粟生さんの息子さんですね。
粟生 夫の話によればYouTubeで、私が登壇している動画を見ているみたいです(笑)。
―― 憧れのお母さんなんでしょうね。