夢の教室は、“熱き心”をもって語る場

 「夢先生が子どもたちに成功話や自慢話をしても、小学5年生ともなれば、『ああ、そう』で終わって何も残りません。それよりも、辛かったとき、挫折しそうになったときのこと。それは、競技生活だけでなく、私生活も含めてのものです。多くの夢先生にとって、苦しいときの話をするのは、初めての経験だったりします。よく、大人は酒席で『昔、俺はスゴかったんだ』と自慢話をしてしまいがちですが、人生の恥部に触れるようなことを人前で話すことはない。そこをあえて話すことで、子どもたちは話に引き込まれていき、『スゴいことを成し遂げた人でも、そんなこともあったんだ!』となって、心に響いていくのです」(手嶋さん)

 このパーティーで、夢先生の代表としてスピーチをしたマラソンの五輪メダリスト、有森裕子さんは、こう語っている。

 「子どもたちの目の前に立って授業をさせていただく機会を通じて、スポーツがどういう意味で自分の生活に関わり、自分たちをここまでにしてくれたのか。スポーツからどれだけ大きな意義をもらうことができたのか。それがどんな出会いだったのか。その変化を、子どもたちの前で授業をしながら、一番、夢先生である私たちが学ばせてもらっていると感じています。私たちアスリートが自分の生き方を振り返って、この姿をどういうふうにこれから子どもたちに伝えていくのか。スポーツの力をもっと信じて、これからしっかりと生きていきたい。そう思わせてくれるのが、こころのプロジェクトだと思います」