「誰かができていることは、努力すれば必ずできる」 3世代前からの教えに共感
粟生 実は、つい先日、父が倒れてしまって。入院中にいろんな話をしてくれました。うちの家訓を話しておくって言って。そのときに、祖父の事業の話なんかも色々聞いたんです。
―― それが粟生さんのキャリア展望の中にも刻まれていた、ということでしょうか。
粟生 やっぱり新しいことをする、ということについては、受け継いでいるんだな、と思いましたね。「他の誰かができていることは、努力すれば必ずできる」というのが3世代くらい前からの教えだって父に聞いて。そのとき「あ、分かるな」って思ったんです。
もちろん、向き不向きとか得意不得意とかあると思いますけど、それを超えて、「同じ人間だから、やろうと思ったことはできるはず」「何事もやってみないとできない」という考えのベースは、そこにあるのかと思いましたね。
周りに支えてもらいながら、新しい道を模索してきた
―― 粟生さんは、新しい事業を立ち上げたり、2拠点で2つの会社の取締役をしながら子育てをしたり、と、常に新しい道を切り開いています。
粟生 でも、私一人じゃ何もできないんですよ(笑)。周りの人に支えてもらって生きてきてるので。最初から人に支えてもらうのが前提で、やりたいと思うことを口にしていると助けてくれる方が出てきてくれるんです。
「人にお願いして申し訳ない」という感覚はあまりなくて(笑)。どんどんお願いします。でも、実際にお願いされてNOという人はあまりいないですよね。
―― 巻き込み上手ですね(笑)。でも、粟生さんにお願いされたら、力を貸したくなる…やりたいと思っていることにブレがなく、未来への具体的なビジョンへつながっているからでしょうか。
粟生 幼いころから父によく言われていたのが、「人と違うことをしなさい」ということでした。その教えもあって、これまでのキャリアを選んできた結果、今にたどり着いていたということかもしれないです。
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何より家族を大事にし、どんなに多忙でも、毎月一度は三重にある実家に帰るという粟生さん。世界に羽ばたいていく粟生さんを支えてくれたのは、幼いころ必死で働きながらも、子どもには寂しい思いをしないようにと心を砕いてくれた両親の記憶でした。
次回は、そんな粟生さんが選んできた道、そしてこれから目指す未来についてお話を伺います。
(取材・文/玉居子泰子 写真/品田裕美 構成/日経DUAL 加藤京子)