すべての苦楽はきっと身になると実感した浪人時代

 中学・高校時代は演劇に夢中になりました。そのため、勉強がおろそかになり、大学受験に失敗、浪人生活を送ることになりました。

 「浪人時代、古文の先生が作ってくれたテキストがとても良かったので、友人たちにも教えてあげたんです。でも、そのテキストを使って一生懸命勉強したのは1人だけ。そのとき感じたのは、本当にいいものが手に入っても、使いこなさないと絶対ものにならないということ。そして、試験当日、まさにそのテキストと同じ問題が出たんです。すべての苦楽はきっと身になるんだと感じました」

 晴れて志望していた大学に合格。東京の大学に進学することを快く思っていなかった祖父も喜んでくれたそうです。

 「浪人時代は、夜の12時に寝て、朝5時に起きるという生活を続けていました。祖父は、『自分が寝る前も起きていて、朝起きたときも起きている。こんな子を進学させないでどうする』と。見ている人は見ていると思いました

大学時代は、女子寮の寮長に。人の動かし方を学ぶ

 カトリック系の大学に進学し、他大学の学生も集まるカトリックの女子寮での生活が始まりました。

 「寮長を任され、孤立をせずにみんなと仲良くする方法を学びました。寮の掃除当番などをみんなにお願いしなければならず、気持ちよくやってもらうように心掛けました。ここで人の動かし方を学びましたね」

 「実家からおいしい食べ物が送られてくると、みんなで分けあって食べるんです。やはり食べ物は人を幸せにします。学校や勉強の悩み、親から離れた寂しさなど、全部食べ物が癒やしてくれました。夜9時の消灯時間を過ぎてもこっそりクッキーを食べながら寮生と話をしたり、布団をかぶって勉強したり。まるで映画の一コマのような青春時代でした