5月中旬に東京ミッドタウンで開催された「WOMAN EXPO TOKYO 2017」。5月21日に行われた基調トークショーでは、日経DUALでもおなじみの小島慶子さんと、早稲田大学ビジネススクール准教授・入山章栄さんが激論を交わしました。今回はそのトークショーの様子をリポートします。

WOMAN EXPO TOKYO 2017リポート
(上)NOKKOさん 家族が集まる日暮れ時は人生のご褒美みたい
(中)小島慶子さん 水平線のかなたの出会いを夢見て
(下)小島慶子×入山章栄 人数合わせの多様性は意味がない ←今回はココ!

働き方改革とは? 一家の大黒柱になるって? お互い色々聞いていきます

小島 今日は「未来につながる働き方改革」というテーマで、入山章栄先生とお話をしてまいります。が、働き方改革といっても、大くくりな言葉ですよね。企業から見た働き方改革なのか、政府から見たものなのか、それとも個人にとっての働き方改革なのか、それぞれの立場で求めているものがあると思うんです。
 働いている人にとって、こういう改革だったらいいのになって思うようなお話を聞けたらいいなと思っています

入山 僕は、小島さんが、今オーストラリアのパースに住んでいて、日本との往復生活で、しかも一家の大黒柱として働いていることにすごく興味があります。今日はよろしくお願いします。

小島 入山先生は経営学者ですけれど、いつも分かりやすい言葉で解説してくださるんですよね。私は経営学は勉強したことはないのですが、いつもなるほど~と思うお話が伺えるので、今日は楽しみです。

共働きから、女性の「片働き」になって見えた、男の人の狭苦しさ

小島 私は、テレビ局で15年間、サラリーマンとして働いていたときに9年間、労働組合の執行委員をして、そのうち7年間は副委員長なども経験しました。当初はまだ独身でしたけれど、育休制度についての交渉などもしていました。例えば、それまでは1年しかとれなかったのが、産休明け1年半育休がとれるようにしたり、1日単位でしかとれなかった看護休暇を半日単位でとれるように交渉したんです。健診だけなら半日で済みますから、年5日間分の休暇でも10回使えます。そんなことをしていました。

 ただ、人とぶつかることは好きではないので、会社と対立して闘うというよりも、協力して働きやすい環境づくりをしていきたい、共にいい制度を作っていきたいということをしていたんですね。それが今となっては役に立っているわけなんです。

入山 素晴らしいですね。率先して社会を変えられたということですね

小島 忙しい先輩の代わりに組合の活動に出たりとかするうちに、でしたけどね(笑)。そんな経験の中で、女の人が仕事を続けるのって大変なんだとか、女の人の意見だけだと通りにくいんだなとか、と実感したんですよね。

 かつて私は女性ばかりが不便な目に遭っていると思っていましたが、ここ4年、自分一人で家計を背負うようになってその考えが変わりました。男の人も不自由なことをかかえているのですね。男の人は「弱音を吐いちゃいけない」と言われて育ってきていて、実はとても不自由。それが働き方が硬直化する原因だったとしても、男性としては声を上げにくかったんだと思うんです。

 でも、もう従来型の24時間滅私奉公スタイルでは、働き続けることが難しいのは明らか。女性にとってだけではなく、男性にとっても不都合なものになってきていると痛感しています。