息子たちは柔道を。娘にはやらせません

―― 息子さんたちは柔道をやっているそうですね。

篠原 身近に柔道というものを見てきたからか、自分たちからやりたいと言ってね。もちろん娘がやりたいと言ってもやらせませんよ。「目を覚ましなさい。ピアノをやりなさい」と言いました。

―― 娘さんにお話している篠原さんのお顔が目に浮かびます(笑)。素敵なお話をありがとうございました! 最後に、仕事と家事・育児の両立に日々頑張っている日経DUAL読者にメッセージをいただけますか?

篠原 みなさん、仕事との両立で疲れていると思いますが、お父さんには率先して家事をしてもらって、お母さんと協力し合いながら、家族みんなで食卓につく時間を、1日1回でも、少しの時間でもいいので作ってください。多少嫌なことがあっても、子どもたちとみんなで一緒に楽しくご飯を食べたら、きっと気持ちが落ち着くと思います

『夜明け告げるルーのうた』
全国公開中
配給:東宝映像事業部
(C)2017ルー製作委員会
公式サイト:http://lunouta.com/
こちらから映画の予告がご覧いただけます(1分7秒)

 『夜明け告げるルーのうた』を監督したのは湯浅政明さん。文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞した『マインド・ゲーム』(2004年)で長編監督デビューして以来、国内外のファンを魅了してきました。本作は、今年4月に公開された『夜は短し歩けよ乙女』も話題の湯浅政明監督が「心から好きなものを、口に出して『好き』と言えているか?」をテーマに描くアニメーション映画です。

【ストーリー】
 寂れた漁港の町・日無町(ひなしちょう)に住む中学生の少年・カイ。父親と日傘職人の祖父との3人で暮らしているカイは、もともとは東京に住んでいましたが、両親の離婚によって引っ越したのです。

 父や母に対する複雑な思いを口にできず、気持ちが後ろ向きのカイの前に、人魚の少女・ルーが現れます。

ルーの出現にビックリするカイ
ルーの出現にビックリするカイ

 カイが作った曲に反応し、楽しそうに歌って無邪気に踊るルー。そんなルーと行動を共にするうちに、カイは少しずつ自分の気持ちを口に出せるようになっていきます。

とてもかわいらしいルー
とてもかわいらしいルー

カイは前向きになっていく
カイは前向きになっていく

 でも、古来より日無町では人魚は災いをもたらす存在とされており、ふとしたことからルーと町の住人たちとの間に大きな溝が生まれてしまいます…。

ルーと町のためにカイにできることとは…?
ルーと町のためにカイにできることとは…?

 人魚のルーがとにかくキュートで、彼女の動きや表情を見るだけで元気が出てきます。自分の思いをちゃんと口に出し、行動を起こすという本作のテーマは、子どもにも大人にもしっかりと響いてきます。ぜひ、子どもと一緒に泣いて笑って楽しんで見ていただきたい1本です。

(取材・文/清水久美子、撮影/花井智子)