読書は習慣性! コッソリ興味のあるジャンルの本を置く
中学年以降は興味がある本を自分で読んでいくようになる年齢だと思うんですね。だからどの本をということはあまりないのですが、一方で現代はインターネットもありますし、テレビもゲームもあるわけで、なかなか読書だけに時間を割ける子どもは少ない。でもそうなると、想像力を奪われてしまうと思います。最低限、想像力を育てられるような読書はしたほうがいい。そのためには無理に何かを与えるというよりは、興味のあるものをとことん読むように仕向けるといいと思います。コッソリ、いいタイミングでその子が好きそうな本をそっと机に置いてあげるといいと思うんですけどね。電車が好きなら電車系、恐竜が好きなら恐竜の本。読書は習慣性があるので、本を読む習慣を付けさせるということはとても大事なんです。
その本を読むときに親御さんも内容を忘れているでしょうから、同じ本をそれぞれが読んで、感想を言い合う。例えば母と娘であれば、「お母さんはあなたくらいのときにこういう本を読んでいたのよ」と同じ本を勧めてみたり。お父さんも、読んでいた本や図鑑を渡してみてもいいと思います。
高学年は映画やお芝居の原作を読んでみる
高学年になると、確かに受験を意識するご家庭も多くなりますね。そうした受験に必要な「国語の問題」自体が非常に色々な問題をはらんでいるのですが、それでも合わせて勉強しなければならないという現状はあります。
ただ、子どもが読書をする場合は、入り口は何でもいいので読んでみる、興味を持ったら読んでみるというのは中学年でも高学年でも変わりません。例えば映画やお芝居を見て、その原作を読んでみるということでもいいんです。
また、お芝居は小さいころから見せてもらえると、演劇が一番、リテラシーも必要としますし、自分の想像力で補わなければならないことが多いので、我田引水になりますが、子どもの教育には一番いいと思っています。
映像作品を見るだけではなく、与えられる視覚的な情報量が圧倒的に少ない演劇を見たり、読書をしたりすることで、自分だけの想像の世界が出来上がります。
僕は子どものころは何時間でも本を読んでいられました。学校から帰って、その本が面白ければ夢中になって何時間でも読む。そういうものの一つが伝記であり、宮沢賢治であったわけですね。
それと、大人が子ども同じ本を読んで、感想を言い合うことがとても大事なのですが、その際、感想は子どもから言わせること。僕は小中学校で演劇の授業をしていますが、先生たちに「演劇を見てすごく変な意見や感想を子どもが出して来たら、どう回答すればいいのでしょうか」という質問を受けることがあります。僕は、「どんな場合にも、まずは驚いてください」と先生たち伝えています。「へぇ、すごいね」「そんなことを考えたんだ!」と驚いてくださいと。褒めることは難しくても、驚くことは大人ならできますよね。実際に驚くような感想を伝えてくれる子どもも多いですから。そうした会話の中から、次の本への興味も湧いてくるものだと思います。
(取材・構成/山田真弓)