「命・心・体」をテーマにした講演や子育て学講座、執筆など幅広く活動するチャイルド・ファミリーコンサルタント、バースセラピスト、助産師のやまがたてるえさん。中1、小5の姉妹の母でもあり、松戸市教育委員会の教育委員としても、子どもたちの健やかな成長を応援しています。
 産後から熱心に情報収集をし、子どもの発達・成長段階をある程度把握しながら、成長を見守ってきたという人も、子どもが小学校に上がると手がかからなくなってきたり、仕事で期待される責任も増えてきたりして、「気づいたら、子どもがあっという間に次のステージに成長していた」と、月日が経つ早さを惜しく思うことがあるでしょう。新連載『見守る・寄り添う 小学生からの子ども学』では、大切な学童期の子どもの成長段階を見守り、いざというときには頼りになる存在として子どもに寄り添えるよう、小学生の親が知っておきたいこと、親の適切な関わりについて、やまがたさんからアドバイスをもらいます。

 今回は、小学校生活もずいぶん慣れてきた3・4年生親に向けた親子の関わりについてです。

「ギャングエイジ」の不安は、「つながり力」へとポジティブ変換

 小学校中学年というと、皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか? 一人で登下校することも集団生活で学ぶことも、親視点では「当たり前」の毎日となっていく中、子どもたちはますます自分自身のアイデンティティーの芽をぐんぐんと伸ばしていきます。

 同時に、自己が次第に確立していきながら、「やりたいコト、やりたくないコト」がはっきりと出てきます。いわゆる“やる気スイッチ”がONになるのですが、やりたくないことにはスイッチがOFFになりやすくなる時期でもあります。

 その中で3・4年生は特に、「ギャングエイジ」と表現されることが多い学年です。思春期前の明るい子どもたちには似合わない「ギャング」という言葉。いったいどこから来るのでしょうか? 

 それは、学校生活に次第に慣れていき、気の合う友達とワイワイガヤガヤ、集まって「仲間」を作っていくことによるものです。クラス替えによって、友達や環境の変化にもまれて戸惑う子も中にはいますが、そうした次第に広がる仲間同士の絆が、良い行動だけでなく一人ではやらなかったような冒険もつい引き起こしてしまう。それまで個々でしていたちょっとしたいたずらが、仲間との相乗効果により「ギャング」のような社会行動へと変換されることがあるのが、ギャングエイジの特徴です。

 皆さんも記憶にないでしょうか? 「おい! ピンポンダッシュだー」なんて、ランドセルを背負った子どもたちが走っていく姿を。「赤信号みんなで渡れば怖くない」と昔の流行語にあるように、仲間と徒党を組んでちょっと悪いことをしたくなる例の一つです。今は赤信号だけでなく青信号だって気を付けて歩かなければいけないくらいの慎重さが、時には欲しいくらいですが、アイデンティティーの確立や旺盛な好奇心に従って、発達の中で「やんちゃ」な部分が顔を出していきます。

 そのギャングないたずらも多少のことならばある意味での「子どもらしさ」になると思いますが、その中でも「いい」「悪い」の判断はしっかりと持ってもらいたいものです。