無学年制の算数タブレット教材「RISU」では、AIを駆使し、その子にとって最も有効なタイミングで最適な問題を表示し、心理学の考え方に基づき、子どものモチベーションを向上させる仕組みが用意されています。この教材を開発・運営しているRISU Japanの取締役・加藤エルテス聡志さんは、「これからの時代を生き抜く子どもを育てるために、親は従来の常識に立ち向かい、子どもにとって最善の行動を取るべき局面があります。これを僕は“Go Beyond the Rules(ルールを飛び越えていけ!)”の瞬間と呼びたいと思います」。自分自身、“Break the Rule”を繰り返してきたからこそ見える地平から、“Go Beyond the Rules”に挑む親たちの背を押すメッセージを送る新連載。初回に引き続き、第2回は、加藤さんの軌跡を辿ります。1度目の東大受験に失敗し、一浪。翌年はどんな結末になったのでしょうか?

「学校」は進歩していなかった

 2度目の東大受験では、準備も万全にできていたため、文科三類に合格しました。期待通り、面白い人たちとの出会いもありました。1年の後半、社会人からキャリア構築に関する話を聞くインタビューサークルを立ち上げたりしていました。

 最初は社会心理学の学者になろうと考えて、経営学と社会心理学のゼミを選び、社会心理学を専攻。人が好きなので組織論を学んでいました。3年のときに留学した米ミシガン大学で心理学統計を学び、統計学をもうちょっとやろうかなとも思ったのですが、組織論を学ぶには現場を見る必要があるので、まず就職しよう、と。インターン先でマッキンゼー勤務の先輩と出会い、「こんな人たちと一緒に仕事をしたい」とコンサルへの就職を考えましたが、どうやらコンサルの世界でも“現場”を学ぶ必要があるらしい、と。じゃあ、まず“現場”に就職しようと考えて、P&Gに入りました。

 その4年後、マッキンゼーに転職し、6年ほど勤めて、子どものころから興味があったヘルスケア関連企業のコンサル経験を積み重ね、「これはもうヘルスケア業界の事業を自分でやったほうがいいんじゃないか」という流れになったんです。

 そして、今も経営しているデータサイエンス研究所という法人を設立しました。今立ち上げているタブレット教材「RISU」も、データサイエンス研究所の仕事の派生です。

 データサイエンス研究所の知見を使って教育事業をやろうと思ったきっかけは、教育産業の規模が大きいこと。そして、データがまだ全然活用されていない産業だったから。データを活用するだけで、ものすごい成果につながるんです。

 学校という世界には、昔からずっと進歩がなかったため、完全にブルーオーシャンでした。