授業中の自習をとがめられ、高3で高校をやめた

 でも、家の近所に事務所を構えていた議員さんから刺激を受けて、高2のころに「じゃあ勉強しようかな」と思い立ちました。で、自分のペースで勉強を始めてみたところ、学校で怒られ始めて。なぜって、先生の話は全然聞かずに、好きに自学自習をしていたので。

 学校の授業内容って、指導要領で全部決まっているじゃないですか。

 僕はまだ授業についていくための基礎的な勉強ができていなかったので、学校の授業を無視していたわけです。すると先生から「好き勝手なことをするな」と言われてしまった。こちらが「授業は聞いていても分からないから、自分に必要な勉強をしています。勉強して何が悪いんですか」と反論すると、「授業中に自習などけしからん」と言われ、「寝てる生徒もいますよね。彼らが怒られるなら分かりますけど、僕は勉強してるんだから、いいじゃないですか」と言い返す……。そんな非生産的な言い合いが続いたので、「じゃあ、学校やめます」と退学しました。3年になってすぐのことです。

 それからは家で勉強するようになり、すぐに大検を取りました。当時の僕の学力はゼロに近かったんです。全国模試の結果が学内で下から2番目でした。偏差値50程度の公立の学校です。有名な“ビリギャル”は中高一貫の私立進学校の校内模試で偏差値40台だったわけで、世間一般的に見れば普通のレベルです。僕は単にフツーの都立高校の、下から2番目でしたから、さらに低いレベルからのスタートでした。にもかかわらず一度目の受験では「きっと面白い人が集まってるはずだから」と東大を受験。ぎりぎりで受かる作戦だったんですが、山が外れて見事に落ちました。その後、1年、予備校に通って準備し、全国模試で上位に名前が掲載されるくらいに成績が伸び始めたんです。

* さて、2度目の東大受験の結果はいかに? “Go Beyond the Rules”ストーリーは次回に続きます。

(取材・文/日経DUAL編集部・小田舞子、撮影/鈴木愛子、題字/加藤エルテス聡志)