子どもの睡眠やパパの健康、家族の食生活に関しては日頃から気にかけているのに、自分のことになると、ついつい後回し。思い当たるママも多いのではないでしょうか。

 「自分が犠牲になって、ぼろぼろになっていくママが多い」と警鐘を鳴らすのは、小児科学と脳科学の観点から睡眠の大切さについて説く、成田奈緒子さん。「寝る子は育つ」「早起きは三文の徳」はたくさんの実践や実験で証明されているという成田さんは、子どもはもちろんのこと、大人にとっても睡眠は大事と力説します。本連載では、ママが寝ると家族がハッピーになるというロジックについて、様々な例を見てきている成田さんに詳しく伺います。第1回のテーマは、なぜ、ママが寝ると家族がハッピーになるのかです。

大人も睡眠は大事。DUAL親子は睡眠を最優先に暮らそう

小児科医で脳科学の観点から子どもの育ちについて研究する成田奈緒子さん
小児科医で脳科学の観点から子どもの育ちについて研究する成田奈緒子さん

 こんにちは。小児科医の成田奈緒子です。私は常日頃、脳科学の観点から、親子の問題に取り組んでいます。カウンセリングでお会いするママたちがとても一生懸命でいいママなのに、寝ていない。そのことに気づいてから、まずはママがしっかり寝ることによって様々な問題に取り組んでいこうと呼びかけています。この連載ではがんばるDUALママたちにとっての睡眠の大切さをお伝えしていきたいと思います。

 実は私は、高校生のときから夜は8時ごろに寝てしまい、明け方3時過ぎに起きて受験勉強をしていました。現役で国立大学医学部に合格したのち、社会人になり、結婚し、母になっても、夜はさっさと寝てしまい、早起きする生活リズムを続けています。この道、ウン十年です。夫は夜型でしたが、私に影響されて朝型に。生後50日から保育園育ちの娘も、やはり朝型リズムで育てて、中学受験も経験させました。そんな成田家の朝型生活についてはおいおい紹介していきます。

 さて、今回は睡眠とハッピーの関係についてお話ししましょう。日本人は浪花節が好きなせいか、寝ないでがんばることがえらいとか、寝る時間を惜しんで努力することをポジティブなイメージで捉える傾向がありますね。

 とくに仕事をしているママは、時間を捻出するには睡眠時間を削るしかないと言って、ついつい無理を重ねがち。「私は5時間寝れば大丈夫」などと言って家族のために自分を犠牲にし、気がつくと心身ともぼろぼろになってしまうことが本当に多くあります。

 成長段階にある子どもの睡眠は心と体の発達に大きな関係があり、睡眠時間を確保することはとても大事です。ママたちはそのことはよくご存じです。でも、自分に関しては、大人は少しくらい無理をしても大丈夫と思っていませんか? 答えはノーです。

 睡眠をないがしろにすることは大人にとっても好ましいことではなく、命にかかわると言っても大げさではないくらい。心身の色々なところに問題が出てしまうのです

 私自身は、「可能なら子どものために1分1秒でも長生きしたい」と思っていて、子どもが親を必要とする時期、少なくとも子どもが自立するまでの間は、健康でいたいと考えています。

 そのために最も大切なのは、ズバリ寝ることです。仕事をしていれば、「今日は寝ないでがんばろう、睡眠時間を削ってでも仕事の結果を出そう」という日がたまにあっても、仕方ありません。けれども、それをやった次の日はゆっくり寝て、体にそれ以上負担をかけるのをストップさせようという考えを持ってください。

 子どものためを思ったら、親も睡眠時間を確保してほしいのです