家事の“外注”で「豊かな時間」を捻出するドイツの女性たち

「MINTEL, Euromonitor, Association of HomeAppliance Manufactures.(2011)」と内閣府の「消費動向調査」を元にミーレ・ジャパンが作成
「MINTEL, Euromonitor, Association of HomeAppliance Manufactures.(2011)」と内閣府の「消費動向調査」を元にミーレ・ジャパンが作成

 欧米では、共働きが当然――。

 皆さん、そんなイメージがあるでしょう? だとしたら家事分担って、というか今回のテーマ(頭痛の種ともいう)の食器洗い事情って、どうなっているんでしょうか。上のグラフを見てみましょう。なんと、ドイツとアメリカでは食洗機の普及率が8割に迫る勢いです。

 「ドイツでは、夜寝る前に1日に使った食器をまとめて食洗機で洗い、朝取り出すという使い方が一般的です」

 そう語るのは、ミーレ・ジャパン広報担当の金木玲子さん。機械で対応できる作業は機械に任せる。そして作業の頻度も、可能な限り少なくする。データからはそんな、ドイツ国民の家事へのスタンスが見て取れます。こうした「家事の合理化」は、家事そのものへの心理的なハードルも下げてくれるため、夫婦での家事分担を推進する強力なエンジンとなり得るでしょう。

 1920年代、つまり100年近く前から自動食洗機を開発しているドイツ(ちなみにヨーロッパで最初に食洗機を商品化したのは、ドイツのミーレ社です)では、早くから女性の家事負担軽減が進んでいました。とはいえ「家事大国」「掃除大国」として知られるドイツ、整理整頓好きな国民性もあって家事の手抜きは好まれません。機械が「きちんと仕事してくれる」ことは大前提です。ドイツの女性たちは、「機械ができることは機械に任せる」ことで「平穏な共働き生活」を実現させ、子どもとゆったりと過ごしたり、読書や趣味に打ち込んだり、お友達を家に招いてもてなしたりといった、本当の意味の「豊かな時間」を捻出しているといえるでしょう。

 ひるがえって日本はどうでしょうか。グラフによると、食洗機の普及率は3割程度にとどまっています。大きな背景には「手でやってこそ価値がある」という、日本の家事に関わる「手仕事信仰」がありそうです。実際、「機械で本当に汚れが落ちるの?」と訝しむ人は、少なくありません。

 確かに、欧米と比べると日本の食器洗いには、より細やかさが要求されます。日本の家庭で作られる料理は和洋中とジャンルも多岐にわたり、器や調理器具の形状も様々です。そしてこうした「多様さ」が「面倒臭さ」につながり、日本の食器洗いという家事労働のハードルをより高くしているのです。これが冒頭の「ママの嘆き」「パパの不満」の根本にある。

 気持ちを込めた手仕事の良さは誰もが認めるところですが、機械に任せることで手作業と同じかそれ以上の結果を得ているとしたら、どうでしょうか。次のページからはそんな実例を見ていきます。