「料理の楽しさは残しつつ、簡単で満足感がある」

―― ライスポットの内側には通常の炊飯器のように、何合という目安となる目盛はついていませんが、ここにもこだわりが込められているのでしょうか。

土方 目盛がない理由としては、ご飯をおいしく炊くには、米と水のバランスがものすごく重要だと分かってほしいからなんです。炊飯器の中のような、間口が広い所で合わせてしまうと、お米の量も違うし、数ミリ上下するだけでも大きな違いになり、絶対に正確に量れません。例えば、1mm上に水位が上がったら、どのくらい違うかというと、間口が広いのと狭いのとで10倍くらい変わってくるんです。間口の狭い専用の計量カップを用意することで、より正確に量れて確実においしく作れます。

 僕たちはより簡単な方法として、重さで量るんです。お米1合は、180cc=150g。例えば2合炊きたいなら計量器で300gになるまで米の量を量り、水は1合180cc=180gなので、2合の場合360g入れます。

―― 発売の時期などから、バルミューダさんと比較されることも多いと思います。バーミキュラならではの特色を挙げると、何でしょうか。

土方 成り立ちが、まず違うんです。僕たちは家電メーカーではなく、道具屋。お鍋という“道具”がまずあり、その上で火加減を自動化することで世界一の味を誰でも実現しやすくするための加熱機器という、あくまでも“道具”を作っているんですよね。ライスポットは、IHの機械を使いながらガスよりもおいしく炊ける道具っていうコンセプトで作っているので、何でも便利な家電製品ではないんです。

 使い方をしっかり分かったうえで使うことで、より性能を発揮できる“道具”。何でも便利がいいわけではないと考えています。そこが違うから、水を計量カップで量らなきゃいけないとか、ちょっと面倒くさいところもあると思います。でも、そうすることによって何倍もおいしくなることを僕たちは知っているんです。

 調理モードも同じ考えで、家電メーカーさんですと、例えば「カレーモード」とか「肉じゃが」モードとか色々あるけれど、それは僕たちはやりたくないわけですよ。肉じゃがはまず肉を炒めてその後、野菜を入れて無水調理をするとか、料理が一番楽しい工程や知識など核となる部分はしっかりと学んでほしい。でも、一番難しい火加減のところは自動化します。

森本 作る楽しさも味わってもらえるような、簡単でなのに料理を作ったという達成感や満足感があると言ってくださる方も多いですね。

土方 僕たちが目指しているのは料理を楽しくするというのが一番で、それがバーミキュラブランドのミッション。その要素は2つあると思っていて、1個は絶対に失敗しない。もう1個は自分の想像を超えた味になる。この2つの要素が揃うと、料理が楽しくなると思っているんです。