バーミキュラの進化 3つのポイント

―― これまでの鍋と比べて、形状も若干変わっていますね。

土方 大まかにいうと違いは3つあります。1つは、形をより炊飯に特化したこと。例えば、鍋の中でより対流が起こりやすいように形状が従来よりも丸くなっていたり、蓋のつまみをなくしてより洗いやすくしたりしています。

 2つ目に機能として違うのが、蓋と本体が合わさる部分に一部溝を施す「フローティングリッド」という新技術を開発しました。

 ご飯を炊くときに一番気になることが、高圧力調理時の「吹きこぼれ」なんですね。だからこそ、炊いているそばでずっと見ている必要があり、非常に手間がかかるんです。でも、鍋は密閉性が重要なので、穴を開けることは絶対にいやだった。普段はしっかりと密閉されながら、中で蒸気の圧力が高まってくると、溝の部分がほんの少しだけ軽いので、重量バランスでほんのちょっとだけ浮き上がるという構造なんです。吹きこぼれないという仕組みが大きな技術の進歩であり、また蒸気の出る方向もコントロールできるという面もあります。

 そして3つ目ですが、お鍋でご飯を炊くとき、そのまま食卓に出してしまうと蓋についた水滴が側面にたれてべちゃついてしまうんです。鍋で炊いたら「おひつ」に入れ替えるというのが一般的な常識なのですが、ライスポットは側面がべちゃつかないように、自社の新技術「ダブルリッドリング」という蒸気のせき止め口が付いています。これにより水滴が均一になり、鍋をそのまま食卓へとおひつのようにも使えます。

水滴が均一になり、側面がべちゃつくのを防ぐ「ダブルリッドリング」
水滴が均一になり、側面がべちゃつくのを防ぐ「ダブルリッドリング」

―― シンプルな形状の中に、細部のこだわりと技術力が凝縮されているんですね。ところで、ライスポットの炊飯には保温機能がありません。多くの共働き家庭では、パパとママの帰宅時間が異なるので、どちらかが冷めたごはんを食べることになるというのが気になりますが、これについてアドバイスをいただけますか?

土方 単純に考えると、先ほどお伝えしたように、ライスポットは「おひつ」として使えるので、このまま冷めてもすごくおいしいんですよね。「炊けたらすぐに冷凍しないとダメなんですよね、大変ですよね」とよく勘違いされるのですが、2~3時間でも、4~5時間でも、ライスポットの中で冷ましてOK。保温機能がなくても電子レンジさえあれば特に手間がかかることなく、保温していたときよりもずっとおいしいご飯が食べられますよ。

―― おひつとして使ったときの水滴でふたの裏部分にさびが出てしまわないか、気になりますが…。

土方 炊き上がったご飯をそのままの状態で置いても基本的にはさびません。例えば、洗った後の濡れた状態で蓋を裏向けて、そのまま置いておいたりするとさびやすいんですが、洗ったときに軽くふいてもらえば大丈夫です。