教育社会学者の舞田先生が統計データを使って、子育てや教育にまつわる「DUALな疑問」に答える本連載。第45回では男性のワーク・ライフ・バランスと出生率にまつわる統計データを紹介します。舞田先生によると、日本男性のWLBは世界最低レベルなのだそう。妻が家事育児を一身に担うワンオペ育児が話題になっていますが、男性のWLBの歪みも原因のひとつかもしれません。今回はぜひ夫婦でお読みください!

 

ワーク・ライフ・バランスでLの割合を算出してみよう

 こんにちは。教育社会学者の舞田敏彦です。今回は、ワーク・ライフ・バランスのお話です。今や、この言葉を知らない人はいないでしょう。和訳すると「仕事と生活の調和」で、政府文書に度々登場するキーワードです(略称はWLB)。

 2007年12月にはワーク・ライフ・バランス憲章が策定され、この理念の実現に向けた取り組みが行われています。しかしそれはまだまだ不十分で、日本の労働者、とくに男性は相変わらず家庭より職場にいる時間のほうがはるかに長くなっています。

 WLBの実現度は国によって違いますが、その尺度の上に諸国を並べた場合、おそらく日本は下位のほうに来るでしょう。あまりやりたくない作業ですが、それをデータで可視化してみようと思います。WLBの実現度の国際比較です。

 仕事(W)と生活(L)のバランスを測る指標として、私は以下のものを考えました。Wは仕事時間、Lは家事・家族ケア時間です。

WLB指数=L/(W+L)×100(%)

 WとLの合算に占める、Lの割合です。WとLが半々なら、この値は50%となります。働き盛りの男性はやはりWのほうが大きいので、こうなることはないでしょうが、実際の値はどれくらいですかねえ。日本は3割、いや2割くらいでしょうか……。