国会に行かないから、優先順位が低いってどういうこと?

 一方、日経DUALの連載「治部れんげの『怒れ!30代』」で怒りキャラが定着している治部さんは、冷静に「なぜ保育園が足りないのかというと、働く親がなめられているからだと思うんです」と発言。
 「政治とは、我々が払った税金を何に使うか、優先順位をつけるものです。その政治において、保育の優先順位は低いんです。なぜなのか」
 「政治家は『だって皆さん(保育関係者や待機児童の父母)、国会に来ないじゃないですか』と言うのです。どういうことかといいますと、親たちが働いている間、業界団体の人たちはせっせとロビーングをしています。それによって補助金をつけてもらったりしているわけですね。それに比べて私たち働く親は昼間は働いて、夜は子育てや家事をしているので、政治家のところに行く時間などありません。そのため保育の問題が政治家には認識されにくい。だから、働く親に対する政策は後回しになってしまうのです」

消費税を1%上げればみんな保育園に入れる

 治部さんはこんな数字も提示してくれました。

京大/柴田悠准教授試算より
京大/柴田悠准教授試算より

 それを見た羽生編集長は「厚生労働省のデータだと待機児童は4万6000人です。この試算だと80万人もいるんですか?」と質問。

 治部さんはこう答えます。「潜在的待機児童については色々な試算の方法があります。これは、京都大学の柴田悠准教授の試算による数字です。この80万人全員が保育園に入園するには、1.4兆円必要です。これはざっくり言って、消費税1%分です。例えば消費税を1%上げて、すべてを待機児童問題に投入し、潜在的待機児童を含めて受け入れるキャパシティーを作らない限り、保育園を作っても、作っても、待機児童が出てくる状況は変わりません。地域に一つ、二つ作っても焼け石に水なのです」

 「今回のイベントのテーマは『子どもは社会で育てよう!』ですね。社会で育てるというのは、わが子だけでなくよその子のことにも自分が払った税金を使ってもらうということです。その覚悟が我々にも必要だと思います」

 すると羽生編集長が「それは世代間闘争ということになりませんか?」と指摘し、境さんがこう発言しました。「政治家がきちんと社会にプレゼンテーションをすれば、理解するお年寄りもたくさんいます。政治家はそこから逃げているのではないでしょうか」。境さんも「僕も少し怒りモードになってきました」と苦笑します。