鉄則5・のりしろを考えて撮影する
動画のデータがたまってくると、編集をしたくなる。60分以上収録した運動会のビデオを毎回、最初から最後まで見るのは飽きてくる。これはという場面だけを集めて、3分ぐらいにまとめると、繰り返してみるのも苦ではなくなる。
断片的に撮影した映像と映像をつなぐことが、いわゆる編集作業となる。ここで気をつけたいのが、つなぐことを想定して撮影することだ。
例えば居間でお茶を飲むシーン。まずは居間であることが分かるように、テーブルの前に座っている子どもの姿を広めの絵で撮影する。次にお茶を飲むシーンはアップに切り替える。
サンプル動画では、2つのパターンがある。ひとつめは、子供のアップに切り替わってから、飲む動作をするまで1秒弱の間があるもの。もうひとつは、いきなり飲む動作に変わるものだ。
後者でも問題ないように感じるのは、次にお茶を飲むシーンがあると分かっているからだ。初めてこの映像を見たとしよう。別の映像に切り替わったことを脳が認識するまで、0.5秒以上の時間を要する。
切り替わったとたんに次のアクションに入ってはいけない。この間のことを「のりしろ」と呼ぶ。
紙と紙を接着するときのように、映像と映像をつなぐためにも、のりしろが必要なのである。つまり撮影の段階から気をつける必要がある。すぐに録画スイッチを切ったり、逆に無駄を恐れて、なかなか録画ボタンを押さずにいると、編集段階で苦労することになる。
(撮影・文/寺尾 豊=フリーライター、映像作家)