企業が発行する債券は「社債」と呼ばれます。大手企業の社債が証券会社で販売されることもあります。国と企業を比較すると、言うまでもなく「潰れやすい」のは企業です。従って社債のほうが利回りは高く設定されます。ただし、国債の利回りが極めて低くなり、一時的にはマイナスとなっていたことから、社債の利回りも極端に低いのが現状です。あえて買う必要があるかと問われるなら、少額の資産運用であれば不要と考えて構いません。

不動産投資ブームがやってきた?

 最近では不動産投資がブームになっています。相続税に制度変更があり、ブームを後押ししたようです。加えて、金利が非常に低くなっていることやカネ余りといわれる状況で資金調達が容易になっていることも理由に挙げられます。

 バブル期には「土地転がし」という言葉もあったくらいですから、不動産投資=売買でもうけるもの、と考えている方もいるかもしれませんが、現在では購入した不動産を貸し出し、その賃料で利益を得るのが一般的です。

 投資対象としてはワンルームマンションからアパート、規模の大きいものではオフィスビルやホテルまで、多種多様です。債券や株との違いは「一つとして同じものがない」ということです。トヨタの株は多数発行されているのですべて同じ性質ですが、不動産は隣り合った土地や建物でも条件が全く同じことはありません。

 また、個々の価格が非常に高価であることから、投資対象として最も手が出しにくいのはデメリットです。一方で、融資が可能な資産運用は恐らく不動産くらいです。不動産投資は親から受け継いだ土地を活用するといったケースもありますが、自身で一から始める場合は借り入れをするほうが一般的です。

 1%の利息で融資を受け、不動産に投じた資金に対して5%の利回りが得られるのならば差額の4%を利益として得られます。つまり空室にならない限りは、融資で大規模な投資をしたほうが利益が増えるわけです。これを「レバレッジ(テコ)をかける」といいます。小さな力で大きなものを動かすのがテコですから、少額の自己資金に融資を受けることでより大きな投資をする、という意味です。利回りと融資金利の差を「スプレッド」とも呼びます。現在は首都圏を中心に不動産価格が急激に高くなっています。これは金利低下によるものです。

 例えば、銀行の預金金利が5%ならば、不動産投資はそれ以上の利回りでなければ割に合いません。1億円の資金でアパートを建てて年間の利益が4%=400万円ならば、わざわざリスクを取って投資をする意味がなく、銀行に預けておくほうがよっぽど安全で確実にもうかります。一方で、金利が低下し、銀行の預金金利が0.1%、貸し出しの金利も大幅に下がっているという状況ならば、4%の利回りでも不動産投資をする人は割に合う、ということになります。結果として不動産にお金を投じる人が増えて価格も上がる、という状況です。