個別株か投資信託のどちらかを選ぶ
最後に、実際に投資をする場合、どのような保有の仕方があるかを説明したいと思います。
一番分かりやすいのは、個別の株を直接保有することです。証券会社で口座を開けば上場企業ならば好きな株を自由に買うことができます。
もう一つの買い方が「投資信託」です。個別の株が単品の料理ならば、投資信託は幕の内弁当のようなセット販売です(※)。どんな方針でお弁当を作っているか、つまりどのように運用するかは投資信託ごとに大きく異なりますが、ファンドマネージャーと呼ばれるプロの投資家が代わりに運用してくれます。
※投資信託は株に限りません。債券や不動産で運用するものもあります。
投資信託はおおむねアセットクラスごとに分類され、さらに上記の説明の通り、大型株と中小型株、セクター別、他にも割安株と成長株など、投資信託ごとに特徴があります。バランスファンドといって、アセットクラスをまたいで株と債券に投資をするものもあります。
従業員持ち株制度やストックオプションなどでの投資も
株へ投資する方法は個別株と投資信託で大きく2つに分かれますが、他にも株式投資の方法はいくつかあります。勤務先が上場企業であれば、「従業員持ち株会」で社員が自社株を補助付きで買える場合もあります(従業員持ち株制度、外資系企業はESPP=Employee Stock Purchase Planと呼んでいる場合も)。
「ストックオプション」といって、一定の価格で株を買う権利を付与される場合もあります。これは上場企業に限らず、これから上場を目指すベンチャー企業でやっている場合もあります。株価が上がるほど利益が増えますので、仕事を頑張るインセンティブになる仕組みです。
外資系企業ならば、RSU(Restricted Stock Unit)といって株で報酬を支払うスタイルもあります。ストックオプションとの違いは「株を買う権利」ではなく、実際に株をもらえることです。
最近よく耳にする「確定拠出年金」も、ややこしい名前が付いていますが、要するに「老後専用の資産運用」です。選択可能な商品は、会社が運営する「企業型」ならば企業ごとに、自分自身で金融機関を選択する「個人型」であれば金融機関ごとに異なりますが、銀行預金以外はほとんどが投資信託です。日本株や外国株、新興国株で運用されている投資信託も大抵のケースで選択肢に含まれています。
個別株はハイリスク? 最低限の知識は得ておこう
株の持ち方は個別株と投資信託の2つがあると説明しましたが、どちらが有利なのでしょうか。一長一短になりますが、忙しく働いている人には投資信託のほうが無難です。
個別株は選択に非常に手間がかかります。この会社のファンだから持っておきたい、など損得とは別の判断で買う場合を除けば、決算書の読み方をマスターしていない人は買わないほうがいいと普段はアドバイスしています。短期間で激しく株価が動くこともありますので、ある程度頻繁に株価をチェックする必要もあります。それが面倒な人は投資信託で十分です。
個別株は投資に手間暇をかけられる人が行う趣味の要素が強いものと考えて構いません。投資信託は500円~1000円程度の少額から買えますが、個別株は最低でも数十万円くらいは必要になってしまいますから、気軽に買えないわけです。加えて、投資信託は投資先が数百社から数千社、場合によっては数万社が対象となります。幅広く分散されているほうが価格変動は穏やかになりますので、投資額が同じでもリスクが低いわけです。
直接買うか投資信託で買うかの選択は不動産でも債券でも同じですから、基礎知識として覚えていただければと思います。
債券と不動産については、次回説明したいと思います。
(イメージカット/鈴木愛子)