夫が育休を取るカップルは、ワンオペ育児になりにくい

 エリアCは夫に時間資源があり、妻のジェンダー規範が弱いため、そもそもワンオペになりにくい関係と言えます。まだ事例は少ないものの、夫が育休を取るようなカップルが当てはまります。また、妻育休中でも家事を妻任せにせず、夫も早めに帰宅してできることをやっている場合、妻復帰後にワンオペになりにくいです。

夫が長時間労働で、妻のジェンダー規範が弱い世帯は外注に頼る

 エリアDは妻のジェンダー規範が弱く、夫に家事育児をやってほしいと思っているものの、夫の時間資源がない場合です。このような場合、妻は家事育児を自分一人でやるべき、とは思っていないので、祖父母に頼ったり外注サービスを使ったりするでしょう。また、このような状況の夫婦ですと「別れた後のほうが、いないことが当たり前なのでかえって気が楽になった」という声も聞きます。

 このように、ワンオペ育児は、夫婦それぞれの自覚、夫の時間資源、妻のジェンダー規範といった要素が絡み合っています。それに加えて、ワンオペが短期的なものなのか(たまたま夫が年度末で忙しいとか)、長期的なものなのか、といった時間軸も関わってきます。

 普通に考えて、働きながら子育てと家事を一人でやっていたら、心身ともに相当疲れます。ワンオペ育児に関する記事などを読んで「これ、私のことかも」と感じたら、ご自身のワンオペがいかなるメカニズムで発生し(1枚目の図)、夫婦どちらに課題がありそうか(2枚目の図)考えてみてください。そして、もし、間に合うなら、時間を取って話し合ってみてほしいと思います。

 時短家事のテクニックより、妻の気づきが必要です。既に気づいた妻たちは、話し合いやケンカ、“プチ家出”など様々な手段を講じて夫を変える努力を始めています。それは簡単なことではありませんが、決して無駄なことでもありません。

 しかし、圧倒的多数はワンオペをテクニックで乗り切ろうとします。でも、それでいいのでしょうか?

“ワンオペ女性”を支えているのは、男性の長時間労働!?

 想像してほしいのは、自分と夫の職場のことです。女性であるあなたが家庭のことを一手に引き受けるため、仕事にかける時間を減らしているとします。その分、あなたの仕事をカバーしているのは、誰か別の女性の夫ではないでしょうか。その男性はきっと、配偶者のワンオペ育児によって、長時間労働が可能になっているのでしょう。

 私は、すべての女性が男性並みに長時間働くべきだとは全く思いません。でも、ワンオペ育児が広範囲に問題とされる背景には、それを受け入れる女性と、夫の長時間労働がある、と思います。本当にそれでいいのか。そのワンオペは、本当にあなたが心からやりたくてやっていることなのか、ぜひ一度、自分に正直になって考えてほしいと思います。