私たち親世代が子どもだったころとは比べものにならないほど、あらゆるデジタルツールが家の中に溢れている現代。子どもが物心ついたころには既にアプリに親しんでいたり、成長するにつれて、ゲーム機をはじめスマ―トフォン(スマホ)、パソコン、タブレット端末などを親以上に使いこなすようになったりする子も珍しくありません。
特にゲームは、親が制限し子どもが自分専用のゲーム機器を持っていなくても、iPadやスマホなどに入った友達のゲームアプリで一緒に遊んだことをきっかけに、ダウンロードの仕方や遊び方を覚えて「自分もやりたい」と主張することもあるでしょう。興味が深まると、今度は自分でゲームアプリや音楽をダウンロードしたり……任せきりにしておくと、個人情報等の漏えいや怪しげなサイトへの流入、子ども自身への悪影響も心配です。
日常生活と密接に結び付いているために、子どもから完全に遠ざけることは現実的に難しいゲーム。2020年からは小学校での「プログラミング教育」も必修化され、時代を象徴するデジタル機器を味方とするか敵とするかは、各家庭の付き合い方次第と言えそうです。家庭では、どのように付き合っていくのが賢明なのでしょうか?
メディアリテラシーに詳しい千葉大学教育学部教授 藤川大祐さんは、「ゲームをしていてただ楽しいから、楽だからと考えることを放棄し、いち消費者として終わってしまうのではなく、世の中の仕組みに関して考えるきっかけ作りとして付き合い、将来の子どもの自立を促すツールの一つとして活用するのが理想です」とアドバイス。高学年親が押さえておきたい知識や、具体的な付き合い方を聞いていきます。
ゲームは悪!? は種類や遊び方による
一度熱中してしまうと何回でも繰り返し、切りがいいところまでなかなかやめられないゲームの特性。一方、課題をクリアする喜びがあり、結果が分かりやすい、そして知育系のパズルなどは頭の体操にも良さそうです。
「ゲームが良いか悪いかの議論は、種類や遊び方によります。ストレス発散程度の楽しみとしてゲームをしている分には問題ありませんが、睡眠時間を削ったり、本来しなければならないことをする時間がなくなったりするほどゲームをしているようなら、無駄な時間を費やしていると言えるでしょう」と藤川さん。未就学児~小学生の時期は、手や頭を使った学習はもちろん体を動かして遊んだり、人と関わったり、リアルな体験を積み重ねることが本来は大切だと話します。
健康面や学習面でも長時間ゲームをすることの弊害があることは確実です。「例えば、タブレットやスマホなど小さな画面を凝視して何時間もゲームをしていると、目が悪くなる可能性が高くなるでしょう。また、全くしない子と1時間より少ない子の学力は大きく変わりませんが、1日1時間以上ゲームをしている子は利用時間が長くなるのに相関して成績が低いという調査結果もあります」
さらに、デジタルツールの長時間使用は、ブルーライトの影響で交感神経を刺激するために睡眠への影響も見逃せません。夜の時間帯にはできるだけ使用を控え、良質な睡眠をとることが成長期の子どもにとってはとても大事なことです。「ゲームに熱中するあまりに、寝る時間を削ってまでゲームに没頭している子は優先順位や時間管理が十分に把握できていない状態。まずは生活習慣の見直しから行う必要があります」(藤川さん)