「社会で子育てしよう、社会でハグしていこう」
駒崎 厚労大臣には待機児童解消だけでなく、子育て・保育にも力を入れていただきたい。「3年間抱っこし放題」なんてものがありましたが、そうじゃないでしょうと言いたい。親だけが抱っこするのではなくて、「社会で子育てしよう、社会でハグしていこう」というようにしないといけないと思います。
塩崎 私がアメリカのハーバード大学大学院に留学していたときに、キャンパスの中に家族寮があったんです。その1階はすべて保育園でした。例えば、スキーに行くときは子どもを預けられましたし、社会全体が子育てにフレンドリーでした。
家族寮には「ベビーシッティングプール」というものがあって、お互いに預けた時間、預かった時間を記録しておくんです。そして学年が終わるときにまとめて精算する。制度がなくても、預けたり預かったり、お互いが自然に子育てを助け合うようになっていましたよ。日本では、大学のキャンパス内に保育園があるところは圧倒的に少ないですよね。どこへ行っても子育てができる、子育てをしている人が、働いたり学生をやったりしている、そういう社会に変えていくことが大事だと思います。
駒崎 それでは最後に、この国の保育の未来について一言いただけますか?
塩崎 先ほども申し上げましたけれども、子育てにフレンドリーで、出生率も約2倍近くあるアメリカを見てみると、保育園で働いている人がとても明るいんですよね。日本の保育士さんは少し忙し過ぎますよね。保育士さんに元気がないと、子どもも元気でなくなってしまうので、みんなが明るく元気になるように、我々は諸条件を整えていくべく、さらに頑張っていきたいと思います。
駒崎 ありがとうございます。大臣もこのように我々の声に耳を傾けてくださいますし、声を上げていくことが大事だと思います。
全国から「こうしてほしいんだ!」という本気の声を届けていくことによって、政府も民間も一緒になってこの国の親子の課題を乗り越え、解決していきたいと思っています。今日のこの「みんなの保育の日」が、そのムーブメントの出発点になればいいなと思います。
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様々な業種・立場の人が集い、いろんな切り口から日本の保育の未来について考え、意見交換した「みんなの保育の日」。司会を務めさせていただきながら、本当にたくさんの気付きがありました。
「保育」とは、保育者であるとか、普段保育に関わりがないといったそれぞれの立場を超えて、子どもも大人も関係なく「お互いが育ち合う、かけがえのない場所」でなければと感じました。日本の子育てが笑顔でいっぱいになる未来を築いていきたいですね。
(取材・文/安田美香)