私たちは自分で決めたライフスタイルに従って生きている
これまでのコラムで、「親の価値観や家族の雰囲気」および「きょうだい関係・誕生順位」が、子どもの人格形成に様々な影響を与えることについて、私がアドラー心理学のカウンセリング技法を学んだテキスト(アドラー心理学教科書/ヒューマン・ギルド出版部)をベースに、考察を進めてきました。
繰り返しになりますが、アドラー心理学では、一般的に人格とか性格と呼ぶものを「ライフスタイル」と言います。このコラムの読者の皆さんは、私たちはおおむね10歳くらいまでに、自分自身の人生の基本設計図、ガイドマップの役割を果たす「ライフスタイル」を確定していくという考え方を既にご理解くださっていると思います。
その人らしい「思考のクセ」や「行動のパターン」の総称である「ライフスタイル」は、次の3つの要素から構成される「その人の信念の体系」とも言えるでしょう。
「自己概念」とは、「私は◯◯という人だ」「私は△△ではない」と、自分自身で設定しているセルフ・イメージやアイデンティティーのことです。
「世界像」とは、「ヒトってさぁ・・・/世間ってさぁ・・・/人生っていうものは・・・/仕事ってね・・・」というような出だしで、友人同士や夫婦で語り合ったり、あるいは自分自身の頭のなかで繰り返し反すうしたりするような、自分なりの世の中に対する信念・ビリーフのことを言います。
「自己理想」とは、「私は◯◯であるべきだ/△△でなければならない」というもののほか、「私にとって大切なものは・・・だ」とか「××は嫌だ」といった行動を取捨選択する基準となる価値観のことを言います。
注目していただきたいのは、上記3要素のいずれにおいても、それらは客観的事実に基づくものではなく、あくまでも、その人が主観的に「そのように思っている・意味づけているだけである」という点です。
「親の価値観や家族の雰囲気」および「きょうだい関係・誕生順位」が個人のライフスタイル形成に大きな影響を及ぼす一方で、最後の最後は「自分で自分のライフスタイルを主観的に決めている」ということは、大きな希望だとは思いませんか? なぜなら、もし自分のライフスタイルが気に入らなければ、再び、自分の意思で「新たな意味づけ」をし直せば良いのですから。
あなたはご自身のライフスタイルに十分満足していますか? それとも、少しだけ修正したいなぁという点がありますか? あるいは、そもそも自分のライフスタイルをよく理解していないかもしれませんね。いずれにしても、まずは、現時点における自分のライフスタイルをよく理解することが出発点となります。それでは、早速、代表的なライフスタイルの類型をご紹介していきましょう。